経営にブレイクスルーが起これば、売上の桁が変わる。
この連載では、現実に桁を変えた経営者にインタビューし、どのように桁を変えたのか、そのプロセスでいかなる課題に直面し、どう向き合って、どう乗り越えたかを解き明かしてゆく。
■ 株式会社エーアイ
2003年創立。「音声技術で拓く21世紀の文化」を企業理念に、音声技術の応用開発・サービス化を通して、音声情報の新しい文化を創出し、生活文化の向上に貢献する。
2014年2月にJapan Venture Award中小企業長官賞受賞。
そして2018年6月、東証マザーズへ上場。私たちAI(エーアイ)は音声合成に特化した、日本唯一の会社です。
やっぱりもう少し研究開発の強い会社にしたいですね。
現在は、深層学習ですね、ディープラーニングを使った新しい音声合成のエンジンを研究開発中です。これは感情表現を自由に表現できるというものですね。来年度にはリリース予定で進めています。
一方で、研究開発会社だけどマーケティングもしないといけない。売れないと会社としては成り立っていかないので。だからこそ、日本語の“音声合成のトップランナー”でいないといけない。
もう一つはですね、他社の技術もサービスとして提供していきたいですね。
これまで本当に独自でずっとやってきたんですけど、弊社の企業理念が”音声技術で開く21世紀の文化”なんですね。
音声技術ということは音声合成だけじゃなくて、例えば音声認識で合ったり翻訳だったり会話であったりとか、音声対話ですね、そのあたりになってくると、やはり別の技術でそれぞれ深いものが出てくるんですね。そういう技術に関しては、連携やアライアンスを組んでサービスの幅を広げていきたい。
その出口の1つがこのAISonarです。これは Amazon EchoとかGoogle ホームとは違い、安全に法人向け業務用として使っていただくことが可能です。
何に使っていただくかと言いますと、3つの想定があります。
1つ目は、受付ですね。例えばお店でお客様に「歯ブラシはどこにあるの?」と聞かれればお店の中の場所を案内するとか、ホテルの受付業務で使っていただける想定です。
2つ目は、こういう打ち合わせをした時の議事メモ。これは議事録を取ってくれなくてもいいが、とにかくメモが欲しい。かつリアルタイムに。そんな時に本当にリアルタイムでこのAISonarがやってくれる。なおかつ誰が話したかも分かりますからね。
そして、3つ目が翻訳デバイスです。お店や、観光案内で外国人が来た時に、中国語で話したら日本語で出てくるとか。
その3つの用途を考えていましてて、それを今期中に実証実験する段階です。
こんな取り組みをやってるのも、それはやはりエーアイを日本語の音声合成のトップランナーにするためです。
今後のもう一つの方向性は、外国語です。
今も弊社はAITalk Internationalという外国語の音声合成のパッケージのソフトを提供しています。
さらに最近は、外国語のエンジンを出してほしいという要望が多いんですね。そこに対応すべく、今は海外のベンダーとお付き合いをしているのですが、そちらと一緒になって多言語の音声合成エンジンを作ってしまおうと動き始めています。
今期中に外国語に関しても準備は全部終えて、来期から本格的に活動を行っていきます。
使っていただければ色々な要望が出てきますから、それを元にブラッシュアップや、いろんな準備をしていって、マーケティングの方も浸透させていく、というのを来年度の4月からやっていきます。
やはり売上の壁で、次は10億の壁だと思っています。
前期は5.7億、今期は6.8億予想で、たぶんそこまではいくんですよね。
それからジャンプアップできるようにしていきたい。
10億を超えたら東証一部になることも可能なので、一応計算でそこまでは出してあって、まだ10億というのは僕の中だけのものなんですけど、夢みたいなもんですよね。でも、実現は可能なんじゃないかと見えてます。
私自身も最初は失敗したんですけど、“一攫千金”を夢見てしまう。でも、一攫千金はありえないです。
ですからうちの社員の方には
「毎日、粛々清々とコツコツと仕事をしてください」
「自分の業務を全うして下さい」
そういつもお願いしています。
目標をきちんと設定してコツコツやって行くと、目標は越えられると思うんですね。
これが、“うまいこと言ったら、ここまで行くんだ!”そんなことはありえない、と僕は思います。
コツコツというのは日本の文化にもあっていると思います。
まず会社の理念を見直してください。
そして、その理念を社員たちと一緒に見直してください。
それでその上で事業計画を作りましょう。
そして事業計画を社員の方々にも共有してください。
それがないと、持たないですね会社は。
インタビュー日:2018年8月8日(水)
インタビュアー:株式会社ピグマ すごい会議コーチ 太田智文、石田博士、太田登揮
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