会議の司会進行はこう話す|そのまま使える台本とシーン別フレーズ集

2026/9/4

こんにちは。株式会社ピグマです。
初めて会議の司会進行を任されたとき、いちばん困るのは「最初の一言を何と言えばいいのか分からない」ことではないでしょうか。
会議の司会進行は、生まれ持った話術ではなく型で決まります。開始の挨拶、目的の提示、議題の進め方、決定事項の確認、締めの言葉には、そのまま口に出せる定型があるからです。
この記事では、60分の社内会議を想定した進行台本を、司会者が実際に話すセリフの形で公開します。話が脱線したとき、沈黙が続いたとき、意見が対立したときのフレーズも一覧にしました。読んだその日の会議から使えます。

記事のポイント

● 会議の司会進行が担う役割と、ファシリテーターとの違い
● 60分会議を開始から締めまで進めるための台本と例文
● 脱線・沈黙・対立・時間超過など困った場面で使えるフレーズ
● 発言が出ない会議を仕組みから変える方法

会議の司会進行が担う役割

会議の司会進行とは、参加者の発言を整理し、決めるべきことを時間内に決めきるところまで運ぶ役割です。場を盛り上げることや、よどみなく話すことが目的ではありません。

司会進行は、議題が複数あって時間が限られている会議や、参加者の役職がばらばらで意見が出にくい会議に向いています。特に強みを発揮するのは、論点を1つに絞り、決定事項と担当者と期限を全員の目の前で確定させる場面です。

会議に無駄があると感じている人は少なくありません。弁護士ドットコム株式会社が2023年9〜10月に会社員694名へ実施した「社内会議白書2023 by MeetingBase」では、社内会議に無駄があると感じている人が88.8%に達しました。

課題の内訳は、会議が長い36.7%、発言者に偏りがある34.7%、結論が出ない34.6%と続きます。1時間以内に終わらない会議があると答えた人は69.2%、不要な参加者がいると答えた人は52.2%でした。

注目したいのは、上位3つがいずれも司会者の言葉づかいで動かせる範囲にあることです。会議の長さは時間の区切り方で、発言の偏りは指名の仕方で、結論の有無は決定事項の確認の仕方で変わります。

司会者・ファシリテーター・議長の違い

3つはよく混同されますが、負っている責任が違います。

 役割  主な責任  意見への関わり方
 司会者  進行と時間管理  中立を保ち、自分の意見は原則として出さない
 ファシリテーター  議論の質を高める  問いを立てて考えを引き出し、合意形成を促す
 議長  会議体の運営と決裁  最終的な決定に責任を負う

 

参加者が10名以下の社内会議では、この3つを1人が兼ねることがほとんどです。ただし、初めて司会を任された段階で3つすべてを背負おうとすると、必ず苦しくなります。

まずは司会者の責任、つまり時間を守ることと、決まったことを全員に確認することだけに集中してください。議論の質を高める技術は、その後から身につければ間に合います。

問いの立て方や合意形成の技法を体系的に伸ばしたい場合は、経営者が習得すべきファシリテーションスキルの記事で能力の身につけ方を解説しています。この記事では、能力を鍛える前に今週の会議で使える言葉に絞って扱います。

会議前に司会者が準備すべき3つのこと

会議の司会進行の出来は、当日の話し方ではなく前日までの準備で8割が決まります。準備するのは、進行表・役割分担・想定される反論の3つで、60分の会議なら20〜30分あれば整います。

会議前準備すること

進行表を作って前日までに配る

進行表には、議題ごとの持ち時間と、その議題で何を決めるのかを1行ずつ書きます。資料の添付だけで済ませず、「この議題で決めること」を必ず言葉にしてください。

● 議題1(20分)来期の販促予算の配分を決める/決裁者は営業本部長

● 議題2(20分)新規顧客の獲得目標の論点を洗い出す/今日は結論を出さない

● 議題3(10分)前回の決定事項の進捗を確認する/遅延があれば対策を決める

決めない議題を「決めない」と明記しておくと、当日その議題で議論が長引いても、司会者が堂々と切り上げられます。

議事録係とタイムキーパーを先に決めておく

司会者が議事録を書きながら進行するのは避けてください。手を動かしている間は参加者の表情を見られず、脱線に気づくのが遅れます。

依頼は前日までにメッセージで残します。「明日の営業戦略会議で議事録をお願いできますか。決定事項と担当者、期限の3点だけ確実に拾ってもらえれば大丈夫です」と、拾ってほしい項目まで指定すると精度が上がります。

タイムキーパーは、残り5分の時点で合図を出す役だけを頼めば十分です。若手に任せると、会議の構造を学ぶ機会にもなります。

出そうな意見と反論を3つ書き出しておく

司会者が当日いちばん焦るのは、想定していなかった反論が出た瞬間です。「誰が」「どの議題で」「何と言いそうか」まで具体化して3つ書き出しておくと、進行の安定度が大きく変わります。
予想が当たれば落ち着いて受け止められますし、外れても想定外に慌てない練習として機能します。

 会議前の自己診断チェックリスト(1つでも「いいえ」があれば、当日の進行が崩れやすくなります)

● 今日の会議で決めることを、1文で言えるか

● 今日は扱わない論点を、あらかじめ決めてあるか

● 議題ごとの持ち時間を分単位で決めてあるか

● 議事録を誰が取るか決まっているか

● 出そうな反論を3つ書き出してあるか

● 決定事項をその場で全員に見せる手段(画面共有・ホワイトボード)があるか

 

60分会議で使える司会進行の台本

ここからは、60分の社内会議を想定した進行台本です。司会者が実際に口に出すセリフを、そのまま読み上げられる形で並べます。社名・議題・氏名を自社のものに置き換えれば、当日そのまま使えます。
時間配分は、開始とアイスブレイクに5分、目的提示に3分、議題1に20分、議題2に20分、質疑に5分、決定事項の確認に5分、締めに2分です。

会議タイムライン

0〜3分 開始の挨拶

開始の挨拶では、誰が進行するのか、いつ終わるのか、誰が記録するのかの3点を必ず伝えます。この3点が最初にそろうと、参加者は安心して議論に集中できます。

●「お忙しいなか、お集まりいただきありがとうございます。ただいまより、10月の営業戦略会議を始めます。本日の進行は私、山田が務めます」

●「終了時刻は15時ちょうどです。時間どおりに終えたいので、ご協力をお願いします」

●「議事録は佐藤さんにお願いしています。決定事項は、この場で画面に映しながら確認していきます」

3〜5分 アイスブレイク

アイスブレイクの目的は、場を和ませることではなく、全員に一度は声を出してもらうことです。最初に声を出した人は、その後の発言のハードルが下がります。
● 「本題に入る前に、ひとことずつ近況をうかがいます。1人30秒で、今週いちばん手応えのあった出来事を教えてください」
● 「今日から参加される田中さんがいらっしゃいます。田中さん、簡単に自己紹介をお願いできますか」
● 「先週の展示会、お疲れさまでした。現地に行かれた方から、ひとことだけ感想をうかがえますか」
参加者が5名を超えると全員には回せません。その日いちばん発言してほしい2〜3名に絞ってください。

5〜8分 会議の目的とゴールの提示

司会進行でもっとも効くのが、この3分です。目的を言うだけでなく、終了時にどうなっていれば成功なのかという状態を言葉にします。
● 「本日の会議の目的は、来期の販促予算の配分を決めることです」
● 「終了時に、どの施策にいくら配分するか、誰がいつまでに実行案を出すかまで決まっている状態をゴールとします」
● 「今日決めるのは配分までです。個別の施策の中身は今日は議論しません。そちらは来週、鈴木さんと別途詰めます」
3つ目の「今日は決めないこと」の宣言が、脱線をもっとも強く防ぎます。会議が長引く原因の多くは、決める話と考える話が混ざることにあるからです。

8〜28分 議題1の進行

議題1には、決裁が必要でいちばん重いものを置きます。参加者の集中力は開始から25分程度までがもっとも高く、その時間帯に重い判断を持ってくるのが合理的です。

● 「議題1は、来期の販促予算の配分です。時間は20分をとっています」

● 「まず鈴木さんから、資料の3ページまでを5分で説明をお願いします」

● 「ここまでで、事実関係について分からない点はありますか。意見ではなく、質問だけ先にうかがいます」

● 「では意見をうかがいます。高橋さんは現場から見てどうお考えですか」

● 「残り5分です。ここまでの意見を3つに整理します。A案はWeb広告に重点配分、B案は展示会に重点配分、C案は現状維持ですね。この理解で合っていますか」

● 「では決めます。営業本部長、この3案のうちどれで進めますか」

● 「決定事項を読み上げます。A案で進める。担当は鈴木さん。実行案の提出期限は10月20日。これで相違ありませんか」

質問と意見を分けて聞くのは、司会進行の技術のなかでも即効性が高いものです。事実確認と評価が混ざると、議論は最後まで噛み合いません。

28〜48分 議題2の進行

議題を切り替えるときは、前の議題が終わったことを明確に宣言します。宣言なしに次へ進むと、参加者の頭のなかに前の議題が残り続けます。

● 「議題1は以上です。ここからは議題2に移ります」

● 「議題2は、新規顧客の獲得目標です。こちらは結論を出すのではなく、来週までに検討すべき論点を洗い出すことがゴールです」

● 「決めるのではなく、出しきることを目的にしています。粗い意見でも構いませんので、思いついた順に出してください」

● 「残り7分です。ここまでに出た論点を4つに整理します。単価か件数か、既存顧客からの紹介をどう扱うか、人員の追加が必要か、期間をどう区切るかですね」

● 「この4つを持ち帰り、来週の会議の冒頭で判断します。論点の一覧は議事録に残します」

決める議題と決めない議題を区別して運ぶと、参加者は今どちらのモードで話すべきかを迷わなくなります。

48〜53分 質疑と意見の吸い上げ

ここは、まだ発言していない人の意見を拾う時間です。全体に向かって「ほかにありませんか」と聞いても、ほぼ何も出てきません。
● 「ここまでで、まだ言えていないことがある方はいらっしゃいますか」
● 「渡辺さん、今日はまだご発言をうかがえていません。気になっている点があれば、ひとことお願いします」
● 「反対意見でも構いません。むしろ、この場で出していただいたほうが、あとの手戻りが減ります」
反対を歓迎する姿勢は、司会者が言葉で明示してください。黙って進んだ会議ほど、実行段階で止まります。

53〜58分 決定事項の確認

会議の価値は、この5分で確定します。決定事項は必ず声に出して読み上げ、同時に画面に映してください。
●「本日決まったことを読み上げます。1つ目、販促予算はA案で進める。担当は鈴木さん、実行案の期限は10月20日」
●「2つ目、新規顧客の獲得目標は、4つの論点を整理したうえで来週判断する。論点の整理は高橋さん、期限は10月18日」
●「持ち越しになった論点は、人員の追加についてです。これは次回の議題1に置きます」
●「今の内容について、認識が違う方はいらっしゃいますか。いなければ、この内容で議事録を送ります」
「誰が」「いつまでに」「何をするか」の3点がそろっていない決定事項は、決まっていないのと同じです。3点が言えない項目があれば、その場で担当者と期限を確定させてください。

58〜60分 締めの挨拶

締めでは、次に何が起きるかを伝えてから終わります。参加者が会議室を出た瞬間に、次の行動が分かっている状態にするためです。
●「以上で本日の会議を終わります。議事録は本日中に共有します」
●「次回は10月18日の同じ時間です。議題1は人員の追加についてを予定しています」
●「鈴木さん、資料のご準備をありがとうございました。皆さん、時間どおりのご協力に感謝します」
議事録は、遅くとも24時間以内に共有してください。理想は当日中です。記憶が新しいうちに配ると、認識のずれをその場で修正できます。

困った場面で使える司会進行フレーズ集

司会進行で本当に困るのは、台本どおりに進まなくなったときです。実際に起きやすい8つの場面ごとに、その場で使えるひとことと、避けたい言い方をまとめます。

以下は、実際の会議で起こりやすい8つの場面を想定した、言い出せるフレーズ集です。

 

 困った場面  その場で使えるひとこと  言ってはいけないNG例
 話が脱線した  「その論点は重要なので、別枠で扱わせてください。いったん予算配分の話に戻します」  「その話、今は関係ないですよね」
 沈黙が続く  「高橋さん、現場から見てどう感じますか。感想でも構いません」  「誰か意見はありませんか」
 意見が対立した  「どちらが正しいかではなく、何を基準に選ぶかを先に決めませんか。コストと納期、どちらを優先しますか」  「まあまあ、落ち着いてください」
 一人が話し続ける  「ありがとうございます。要点は納期の懸念ということですね。ほかの方の見方もうかがいたいので、渡辺さんはいかがですか」  「もう少し短くお願いできますか」
 時間が超過しそう  「残り5分です。ここからは決めることに絞ります。持ち帰る論点は最後にまとめます」  「時間がないので巻きでお願いします」
 結論が出ない  「今日は結論を出さないと決めます。判断に足りないのは競合の価格情報です。鈴木さんが18日までに集め、次回の冒頭で決めます」  「では、いったん持ち帰りということで」
 オンラインで反応が読めない  「ここまでで問題なければチャットに1、気になる点がある方は2と入れてください」  「大丈夫そうですかね……(無言のまま次へ進む)」
 社長の発言で場が固まった  「今のお話を確認させてください。展示会を優先すべきというご意見という理解で合っていますか。この前提で、現場から気になる点はありますか」  「では、社長のご意見のとおりで進めます」

 

脱線と沈黙は、切り返しの順番が決まっている

脱線を止めるときは「戻します」だけを言わず、戻す理由を必ず添えてください。「その論点は重要なので、別枠で扱わせてください」と前置きすれば、意見そのものは肯定したまま話を戻せます。
沈黙は、全体への呼びかけでは破れません。指名するときは答えやすい範囲を限定し、「どう思いますか」ではなく「現場から見てどう感じますか」と粒度を下げます。役職が下の人から先に聞くと、上位者の意見に引きずられずに済みます。

意見が対立したときは、人ではなく判断基準を並べる

対立が起きたら、どちらの意見が正しいかを議論させないでください。勝ち負けの話になり、収拾がつかなくなります。
司会者がすべきことは、何を基準に選ぶかを先に決めることです。コストか納期か、短期の売上か中長期の関係かといった判断軸を並べ、どの軸を優先するかを決裁者に選んでもらいます。軸が決まれば、対立していた2案のどちらを採るかは自動的に決まります。

結論が出ないときは、決められない理由を決める

結論が出ない会議でもっとも避けたいのは、「いったん持ち帰り」で終えることです。持ち帰りは誰の仕事にもならず、次回も同じ議論が繰り返されます。
代わりに、
決められない理由を特定し、それを埋める担当者と期限を決めます。「判断に足りないのは競合の価格情報です。鈴木さんが18日までに集め、次回の冒頭で決めます」まで言えば、結論が出なかった会議も前に進んだ会議になります。

発言が出ない会議が生まれる理由と改善策

発言が出ない会議は、司会者のフレーズで一時的に発言を増やせても、翌週にはもとに戻ります。参加者が「この場で何を言えば自分の仕事が前に進むのか」を持っていないからです。

会議にかかる時間の実態

Acall株式会社が2024年6月に600サンプルを対象として実施した「『会議』に関する実態調査」では、1日あたりの会議時間は平均1.9時間、会議調整時間は平均26.5分で、勤務時間の約3割が会議と調整に使われていました。月にすると約50時間、年間では約600時間です。一方で「本当に必要」と感じられている会議は39.1%にとどまります。
残りの約6割は、参加者から見れば座っているだけの時間です。この状態で発言を求めても、出てこないのが当然といえます。

発言が変わる理由

会議 変化

発言が変わるのは、会議が「約束したことの進捗を報告する場」になったときです。

参考になるのが、当社がコンサルでサポートした特定技能に特化したグローバル人材紹介と定着支援を手がける株式会社Proud Partnersの取り組みです。

同社は従業員126名の規模へ成長する過程で、部長陣が日々の業務に追われ、会社全体の目標への主体性が不足していました。そこで、目標設定から合意形成、実行への約束づくりまでを体系的に進めるプロセスを策定し、コミットメントリストとマイルストーンを1枚のシートに整理しています。

週1回の進捗確認により、目標を見失わない仕組みが定着しました。結果として、メンバーの自主的な行動が増え、会議での発言がより主体的で具体的なものへ変わり、業務改善や新しい提案が生まれる土壌ができています(株式会社Proud Partnersの導入事例)。

司会者の問いかけがうまくなったから発言が増えたわけではありません。会議に持ち込むものが「意見」から「自分が約束したことの進捗」へ変わったため、話す理由が生まれたのです。

自社の会議で誰が何を約束しているのかが曖昧なままなら、司会の技術を磨く前に会議の設計を見直すほうが早く効きます。何から手をつけるべきかを整理したい場合は、ピグマの90分ミーティングが入口になります。

オンライン会議での司会進行のポイント

オンライン会議の司会進行は、対面と同じ台本では機能しません。表情と頷きが読み取れないため、対面なら省略できる確認をすべて言葉に置き換えなければならないからです。

反応が読めないときの確認フレーズ

オンラインでは「大丈夫ですか」と聞いても、沈黙が同意なのか未理解なのか判別できません。反応の形式を司会者が指定してください。
● 「ここまでで問題なければチャットに1、気になる点がある方は2と入れてください」
● 「賛成の方は、リアクションボタンで手を挙げていただけますか。5秒お待ちします」
● 「今の説明で分かりにくかった箇所があれば、遠慮なくチャットに書いてください。あとでまとめて拾います」
● 「田中さん、いま画面から表情が見えないので確認させてください。この方針で進めて問題ありませんか」

オンライン特有の3つの注意点

オンライン会議では、対面とは異なる特性があるため、司会者が注意すべきポイントが3つあります。いずれも「発言の扱い方」と「決定事項の伝え方」に関わるものです。

1. 発言がかぶりやすいこと

オンラインでは音声にわずかな遅延があるため、2人が同時に話し始める場面が頻繁に起きます。
そのため司会者は、「では高橋さんから、そのあと渡辺さんの順でお願いします」 のように、話す順番を先に宣言する必要があります。順番が明確になるだけで、会議の流れが大きく安定します。

2. 指名なしの問いかけは沈黙を生むこと

対面なら「どなたか意見ありますか」で自然に誰かが話し始めますが、オンラインでは空気が読めず、全員が譲り合い、沈黙になります。そのため、必ず個人名で指名するのが基本です。
例:「渡辺さん、現場の観点で気になる点があればお願いします」

3. 決定事項は視覚情報で共有する必要があること

オンラインでは、口頭だけの説明は記憶に残りにくく、誤解も生まれやすくなります。決定事項は必ず 画面共有で文字として提示しながら読み上げる ことで、認識のずれを防げます。
画面に出ている情報は、あとで「聞いていない」というトラブルを大幅に減らします。

初めて司会を任された人が知っておくべき3つの考え方

初めて司会を任された人には、うまく話すことを目指さない進め方をおすすめします。司会者に求められているのは話芸ではなく、決まったことが残る状態をつくることだからです。

うまく話すことより、決まったことを残すことを目指す

会議が終わったあと、参加者が覚えているのは司会者の話しぶりではありません。何が決まったか、自分は何をすればよいかの2点だけです。
言葉に詰まっても、決定事項が3点そろって共有されていれば、その会議は成功しています。判断に迷ったら、
滑らかさを捨てて確認を優先してください。「すみません、もう一度確認させてください」は、何度使ってもよい言葉です。

沈黙は失敗ではなく、考えている時間だと捉える

初めての司会者がもっとも焦るのが沈黙です。しかし、問いを投げてから最初の発言が出るまでには、通常5〜10秒かかります。
この間を埋めようとして司会者が話し始めると、参加者の思考は中断されます。心のなかで10秒数えてから次の言葉を出すと決めておくだけで、進行は落ち着きます。10秒待っても出てこない場合に、初めて個人を指名してください。

司会者が避けるべき3つの行動

●自分の意見を先に述べる。司会者が結論を示すと参加者はそれに合わせにいくため、議論が形だけになります
●発言を評価する。「いい意見ですね」を繰り返すと、評価されなかった発言者が萎縮します。受け止めるのは「ありがとうございます」で十分です
●決まっていないことを決まったことにする。曖昧なまま議事録に書くと、実行段階で必ず揉めます
3つ目は特に注意してください。会議を穏便に終えたい気持ちから、決めきれなかった項目を「方向性は合意」と書く例は珍しくありません。決まっていないなら、決まっていないと書くほうが組織のためになります。

経営会議のような重い意思決定の場での司会進行

経営会議のように意思決定が重い会議では、司会進行の難易度が一段上がります。参加者の役職が高く決定が全社に影響するため、沈黙も対立も、通常の会議より強い意味を持つからです。
ここでの司会者の役割は、議論を整理することに加えて、決めきれない空気が生まれたときに判断を前に進めることになります。

社長の発言で場が固まったときの一手

経営会議でもっとも多い停滞は、社長や役員の発言のあとに誰も口を開かなくなる場面です。ここで司会者が「では、そのとおりで進めます」と受けてしまうと、その会議は追認の場になります。
司会者が取るべき一手は、発言内容を確認し直して論点に戻すことです。
● 「今のお話を確認させてください。展示会を優先すべきというご意見という理解で合っていますか」
● 「この前提で進めた場合に、現場で気になる点があれば先にうかがいたいのですが、いかがでしょうか」
● 「反対ではなく、実行するうえでの懸念という形で構いません。鈴木さん、実務の観点でいかがですか」
「反対意見」ではなく「実行するうえでの懸念」と言い換えると、上位者の意見を否定せずに現場の情報を引き出せます。この言い換えは、意思決定が重い会議ほど効果があります。

決定の重みづけを言葉にする

経営会議では、すべての議題が同じ重さではありません。今日決めなければ来月の数字に響くものと、来月に回してよいものが混在しています。

司会者は、議題に入る前に重みを宣言してください。「この議題は本日中に決めないと、来期の予算編成に間に合いません」と伝えると、参加者の集中度が変わります。逆に「この議題は情報共有までで構いません」と宣言すれば、不要な議論に時間を使わずに済みます。

経営会議そのものの質をどう上げるかについては、経営会議の質を上げる改善策の記事で議題設計やフォローアップの観点から解説しています。

会議の設計を外部支援で補強する方法

司会進行の型を身につけても、会議の場そのものが機能していなければ成果は限定的です。会議の設計から変えたい場合に、経営会議の立て直しでまず検討される定番の選択肢が、外部のコーチが実際の会議に入る方法です。

公益財団法人日本生産性本部が2025年12月22日に公表した労働生産性の国際比較2025によると、日本の時間当たり労働生産性は60.1ドルで、OECD加盟38か国中28位でした。会議の使い方は、経営課題として無視できない位置にあります。

マネジメントコーチが司会として会議をリードする方法

株式会社ピグマが提供する「すごい会議」は、実際の経営会議にマネジメントコーチが参画し、司会として会議をリードするプログラムです。研修で司会の技術を教えるのではなく、本番の会議に入って進行そのものを担う点が、一般的な会議研修と異なります。

1.  初回ワークセッションDay1(約10時間)で、経営課題と目標を洗い出す

2.  約1週間後のDay2(約6〜8時間)で、実行への約束と担当・期限を確定する

3.  その後は3週間から1か月に1度の頻度でフォローし、決定が実行されているかを確認する

標準的な導入期間はおよそ1年から3年で、ケースによっては3か月から半年で区切ることもあります。100以上の会議フォーマットを使い分け、社内コーチを育てることで、支援が終わったあとも自走できる状態を目指します。

「誰が・いつまでに・何をするか」を毎回の会議で確定させ、決めたことが実行される組織に変えることが目的です。すごい会議は全国で2,000社以上に導入され、このうちピグマ社での実績は過去13年で180社以上になります。導入企業の95%以上が経営会議から着手しています。サービスの内容はすごい会議のサービスページで確認できます。

会議の司会進行に関するよくある質問

司会進行の台本は毎回作る必要がありますか

進行表は毎回作りますが、台本そのものは1度作れば使い回せます。変わるのは議題名・持ち時間・担当者だけで、開始の挨拶や決定事項の確認、締めの言い回しは共通で使えるからです。自社用の台本を1本作っておけば、準備時間は20分程度まで短縮できます。

司会は毎回同じ人が担当したほうがよいですか

慣れるまでは同じ人が続け、型が定着したら持ち回りに切り替えるのがおすすめです。同じ人が続けると進行の質は安定しますが、その人が不在のときに会議が機能しなくなります。持ち回りにすると参加者が司会者の視点を持つようになり、脱線や発言の偏りが自然に減ります。

司会者とファシリテーターは兼任してもよいですか

10名以下の社内会議であれば、兼任して問題ありません。ただし意見が激しく対立する議題や、決裁者が同席する重い会議では、進行と議論の質の担保を1人で背負うと負荷が高くなります。その場合は時間管理だけを別の人に任せると、司会者は議論の中身に集中できます。

台本どおりに進めると、議論が硬くなりませんか

台本が縛るのは進行の枠であって、議論の中身ではありません。開始と終了、目的の提示、決定事項の確認を固定すると、かえって中盤の議論を自由に広げられます。時間と着地点が担保されているためです。硬く感じる場合は、アイスブレイクと質疑の時間を長めに取ってください。

オンライン会議の司会は対面より難しいと言われますが本当ですか

表情が読めない分だけ難易度は上がりますが、フレーズを準備しておけば十分に対応できます。オンラインで難しくなるのは、沈黙の意味の判別と発言のかぶりの2点に集約されます。反応の形式を指定すること、発言順を先に宣言することの2つを徹底すれば、対面と同等の進行は可能です。

まとめ 会議の司会進行は台本とフレーズで変えられる

● 会議の司会進行の役割は、決めるべきことを時間内に決めきるところまで運ぶこと
● 準備するのは進行表・議事録係とタイムキーパーの依頼・想定される反論の3つで、所要時間は20〜30分
● 開始の挨拶では、進行役・終了時刻・議事録係の3点を必ず伝える
● 目的の提示では、今日決めることと今日は決めないことをセットで宣言する
● 沈黙は全体への呼びかけでは破れないため、個人を指名して答えの粒度を下げる
● 結論が出ないときは持ち帰りにせず、決められない理由と埋める担当者・期限を決める
● 決定事項は「誰が・いつまでに・何をするか」まで読み上げ、24時間以内に議事録を共有する
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