目標の解像度を高めることで大幅な利益率改善へ。筋肉食堂のマネジメントの質を変えた「すごい会議」の成果

TANPAC株式会社 代表 中崎 祐史様

【インタビュ企業情報】

会社名:TANPAC株式会社

設立:2015年6月

資本金:3,000万円 従業員数:130名(アルバイト含む)

事業内容:外食事業・中食事業・宅食通販事業・アスリートサポート事業

導入期間:2025年7月担当コーチ:株式会社ピグマ 太田 智文

会社URL:https://tanpac.co.jp/


事業拡大の裏で目標設定と役割分担に課題を抱えていた

──TANPAC社の事業概要と創業までの経緯を教えてください。

中崎様:私たちのスタートは、2015年12月に六本木で高たんぱくグリルダイニング『筋肉食堂』をオープンしたのが始まりです。この構想に至った背景には、私自身の経験が大きく影響しています。
以前はインターネットリサーチ会社を共同創業し、4年で上場を経験しました。その後、35歳で退職し、約2年間いわゆる“無職”の期間を過ごすことになります。時間も体力も十分にあったことから、これまでできなかったサーフィンや筋トレに思い切り取り組むようになったんです。
その中で本格的なパーソナルトレーニングを始めた際、トレーナーから「身体を変えるには食事が最重要」との指摘を受けたのです。しかし当時は、高タンパク・低カロリーな食事を外食で気軽に楽しめる環境がほとんど整っておらず、ジムで販売されていた弁当も継続するのが難しいほど満足度の低いものでした。こうした状況に課題を感じ、「美味しく、かつ高たんぱくで身体に良い食事を提供するサービスに需要がある」と確信したことが『筋肉食堂』誕生の原点となりました。

──まさにご自身の体験が事業の着想につながったわけですね。

中崎様:はい。メニュー開発には半年ほどかけ、高タンパク・低カロリーだけど最高に美味しい、をコンセプトに料理人と何度も試作を繰り返しました。六本木店をオープンした際は、初日から予想を超える反響をいただき、『Yahoo!ニュース』のトップにも取り上げられました。11時半の開店からわずか1時間半で食材がすべて売り切れるほどの盛況で、当時の勢いは今でも鮮明に記憶しています。
──事業拡大を進めるなかで、どのような課題を感じていたのでしょうか。

中崎様:一言でいうと「会社の成長に目標管理の仕組みが追いついていないこと」が最大の課題でした。レストラン事業に加え、D2C、法人向けサービスへと事業領域が急速に広がるなかで、事業や個人の目標設定や役割分担、管理方法が曖昧なまま進行していたのです。
その結果、「目標達成や未達の要因」が感覚的な判断に依存する場面が増え、事業の成長をコントロールできていない状態が続いていました。「このままでは再現性が担保できず、持続的な成長も困難になるのでは」といった強い危機感を抱きましたね。
私自身、上場企業での経験から、事業を前に進めるには組織内に「効果的な目標管理の仕組み」の構築が不可欠であることも痛感していました。だからこそ、当時は「マネジメントの質をどのように高めるか」が最優先の経営課題でした。

外部の知見を取り入れる文化が「すごい会議」導入の成功を後押し

──「すごい会議」を知ったきっかけを教えてください。

中崎様:代表の太田さんとは、経営者コミュニティで知り合いました。すごい会議を導入しているコミュニティの仲間から「目標管理に困っているなら適任者を紹介するよ」と声をかけてもらい、『すごい会議』のカンファレンスに参加したのが最初の接点です。
当初はサービス内容を明確に理解していたわけではありませんが、カンファレンスで話を聞くうちに「これは面白そうだ」と強く興味を惹かれたんです。
──外部の仕組みを取り入れることに対して、社内で抵抗はありませんでしたか。

中崎様:ほとんどありませんでした。というのも、『すごい会議』を導入する2年以上前から、外部の知見を積極的に取り入れる文化を育てていたからです。
具体的には外部講師を招いて思考の基礎を学んだり、全マネージャーで月1回の勉強会を実施し、ミッション・ビジョン・バリューゼロから創り直したり、と組織のアップデートにつながるような取り組みを2年ほど続けていました。
その結果「自分たちだけで考え込まず、外部の優れた知見を活用して組織を強化する」という価値観がすでに社内に浸透していたため、私が『すごい会議』の導入を提案した際も、メンバーからは「今回はどんな面白いものを持ってきてくれたんですか?」という前向きな反応が返ってきました。
こうした文化的土壌があったことは、『すごい会議』の導入がスムーズに進んだ大きな要因だったと感じています。

感覚を数値に落とす、苦しみを経てコミュニケーション総量が5倍に

──「すごい会議」を導入して最初のセッションはいかがでしたか。

中崎様:率直に申し上げると、メンバー全員が相当苦労していました。これまで感覚で進めていた業務について、徹底的に言語化・数値化することが求められたためです。
太田さんから「このサービスのユニットエコノミクスは?」と問いを投げかけられても、半数以上のメンバーが即答できないんです。まさに、私たちがどれだけ感覚に頼って仕事をしていたのかを突きつけられた瞬間でした。これまで本能で動いていた領域を数字とロジックに落とし込む作業は、事業基盤をゼロから組み直すような大変さでしたね。

太田:初めてTANPAC様とお会いした際、中崎さんという強いリーダー、『筋肉食堂』というブランド、そして力のある幹部の皆さんを拝見して、直感的に「非常に大きなポテンシャルを秘めた組織だ」と感じました。一方で、トップとメンバーの間で、目標に対する視座に明確なギャップがあったのも事実です。視点やマインドが少し整うだけで、さらに大きな成果が生まれる余地があると考えていました。
そこでまずは現状を徹底的に可視化し、全員の目線を揃えるところから取り組みをスタートしました。完璧さを求めるのではなく、その時点でできるベストを積み重ねていくことを重視しながら、セッションを進めていきました。

──苦しい状況を経て、どのような変化が生まれたのでしょうか。

中崎様:本当に劇的な変化でした。特に顕著だったのが、コミュニケーション量の増加です。それぞれが自身の目標を明確にするには、他部署の状況や細かな数値を正確に把握する必要があります。そのため「ここはどのように進めるのか」「この数字の背景はどうなっているのか」といった対話が自然と増えていきました。結果として、「30分だけ話したい」「今10分ほど相談させてほしい」といった、自発的なコミュニケーションが、導入前よりも5倍ほどに増加したように感じています。
なかでも印象的だったのは、これまで発言が多くなかったメンバーの変化です。彼らが示すコミットメントの質が格段に上がり、ミーティングでの発言量も一気に増えました。自ら悩み抜いて作ったKPIには、当事者意識としての”魂”が宿り、業務への姿勢にも大きな変化がもたらされました。単なる「やらされ仕事」ではなく、「自分ごと」として主体的に取り組む意識が自然と芽生えていったのです。
こうした自発的に問題解決へ向かうこのプロセスこそ、「すごい会議」が組織にもたらした大きな価値だと感じています。

太田:すごい会議では、KPIを初回から完璧なものを作る必要はありません。大事なのは、“自分で考え、自分で決める”プロセスです。TANPAC社はセッションを重ねるごとにKPIの解像度が上がり、アクションの質が明確に変わっていきました。
特に印象的だったのは、メンバーの皆さんが互いの目標や数値に対して建設的に疑問を持ち、議論できるようになったことですね。これは仕組みが定着しはじめた証拠であり、最も大きな成果のひとつだと感じています。

──事業面での成果はどのようなものがありますか。

中崎様:導入からまだ日が浅いものの、既に様々な原価が下がり始めています。これまで感覚的に把握していたコストを一つひとつ可視化し、管理可能な状態に整えたことが大きな要因です。このまま取り組みを継続していけば、利益率は大きく向上するので、確かな手応えを感じています。
また、副次的な効果として「本来取り組むべきだったにもかかわらず、これまで見えづらかった課題」が次々と浮き上がっています。例えば、各部門で行われていた数値管理などは仕組み化して一元管理しなくてはいけないと分かっていながら、日々の業務を優先するあまり属人的に管理されていました。これまで見過ごしていた組織課題が明確になったのです。ただしこれらは組織が次の成長ステージに進むために必要な発見であり、非常に前向きな変化として受け止めています。

『すごい会議』はメンバーに自走力を与え、目標達成を加速させる仕組み

──太田さんのファシリテーションで特に印象に残っている点はありますか。

中崎様:はい、特に優れていると感じた点は2つあります。
1つは、『すごい会議』という仕組みを適切かつ効果的に活用する方法を丁寧に教えてくれる点です。形式的な進行にとどまらず、目的に応じた使い方や、成果につなげるための思考プロセスまで的確に示していただきました。

もう1つは、多数の企業を支援されてきたご経験に基づく、深いビジネス知見です。
初回セッションの段階で、当社の事業構造や市場性、成長の可能性を的確に把握し、「この事業ならここまで到達できる」という具体的な成長イメージを持って、目標を引き上げてくれるようなコミュニケーションを取ってくださいました。そのおかげで、チーム全体が終始自分たちの成長の可能性を信じて前向きに取り組める流れを維持できたと感じています。
──現在は社内で仕組みを運用されていると伺いました。

中崎様:はい。現在は太田さんがファシリテーターとして伴走していた時と同等のレベルを維持することを意識しながら、社内メンバーが主体となって運用しています。本来あるべき姿は、メンバー同士が互いのアクションプランやKPIの矛盾や課題に気づき、率直に指摘し合える状態です。
その実現に向けて、心理的安全性を確保しつつも、高い目標という共通のゴールに向かって「適切な厳しさを持って要求し合う」健全な緊張感が、組織内に少しずつ生まれてきています。

太田:中崎さんが言うように、社内で仕組みを回せるようになったのは、とても大きな成果です。その背景には、“決めたことを当たり前にやりきる”という文化が少しずつ根づいてきたことがあります。セッションを通じて、曖昧だった担当範囲や優先順位が明確になり、メンバーの皆さんが主体的に動ける状態に変わっていきました。
行動量が増えたというよりも、行動の質と選択の基準が変わったと表現した方が正しいかもしれません。これがチームの推進力を大きく高めた要因だと感じています。
──最後に、「すごい会議」を一言で表すと、どのようなサービスだと思いますか? また、どのような企業に向いているか教えてください。

中崎様:一言で申し上げると、「すごい会議」は「目標と日々の行動を明確化し、組織に推進力と自走力を生み出す仕組み」です。そのため目標設定が形骸化していたり、やるべきことがやりきれていないにも関わらず誰も指摘できない、そんな硬直化した組織には大きな効果をもたらすと思います。
ただし、成果を最大化するためには、メンバーの「向上心」と「素直さ」が必要です。変化を受け入れにくい方や、慎重なスタンスのメンバーが多い環境では、十分に機能しない恐れがあります。
一方で「やる気はあるのに、どう進めればいいか分からずモヤモヤを抱えている」といったポテンシャルのあるチームには非常に相性が良く、目標達成への道を大きく前進させてくれるのではないでしょうか。

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