「もう少し高みを目指さなあかん」
新本社建設を転機に、赤鹿地所が描いた2030年の未来

株式会社赤鹿地所 代表取締役社長 赤鹿 保生様

「この建物を、何のために建てるのか」
2030年『売上50億円・経常利益10億円』へ。

株式会社赤鹿地所では、「すごい会議」を社内の「戦略会議」と位置づけ、約13年にわたって継続してきました。
2カ月に一度、部門長やチームリーダーが集まり、経営計画を実現するために「次の2カ月で何をするのか」を決める。戦略会議は、同社の経営に欠かせない仕組みとして定着しています。
その会議が今回、大きく変わりました。
目先の進捗を確認する会議から、2030年の会社の姿を考える会議へ。変化の背景にあったのは、新本社の建設をきっかけに生まれた、赤鹿保生社長自身の心境の変化でした。
「この建物を、何のために建てるのか?」
自問自答の先で、赤鹿社長が掲げたのが、2030年の「売上50億円・経常利益10億円」という目標です。
前期の経営目標を達成した成果、その原動力となった部門間連携、会社の未来を議論するための会議への転換、そして次世代の経営幹部を育てる経営計画づくりについて、赤鹿社長に伺いました。
株式会社赤鹿地所では、「すごい会議」を社内の「戦略会議」と位置づけ、約13年にわたって継続してきました。
2カ月に一度、部門長やチームリーダーが集まり、経営計画を実現するために「次の2カ月で何をするのか」を決める。戦略会議は、同社の経営に欠かせない仕組みとして定着しています。
その会議が今回、大きく変わりました。
目先の進捗を確認する会議から、2030年の会社の姿を考える会議へ。変化の背景にあったのは、新本社の建設をきっかけに生まれた、赤鹿保生社長自身の心境の変化でした。
「この建物を、何のために建てるのか?」
自問自答の先で、赤鹿社長が掲げたのが、2030年の「売上50億円・経常利益10億円」という目標です。
前期の経営目標を達成した成果、その原動力となった部門間連携、会社の未来を議論するための会議への転換、そして次世代の経営幹部を育てる経営計画づくりについて、赤鹿社長に伺いました。

経常利益4億円を達成。成果を生んだ部門間の連携

この1年を振り返って、会社としてどのような成果がありましたか。

赤鹿:当社では毎年、経営方針、経営目標、経営計画をつくっています。前期の大きな成果は、経常利益4億円という経営目標を達成できたことです。
その目標を達成するために、社内でさまざまな会議や取り組みを重ねてきました。

目標達成につながった大きな要因は、どこにあったのでしょうか。

赤鹿:前期の一番の成果は、マーケティング部門とインサイドセールス部門が連携し、さまざまなイベントを企画・開催する力がついたことです。
それまでは、マーケティング部門はマーケティング部門だけで仕事をしていました。前期から、営業チームの中にあったインサイドセールスチームを独立させ、この2つの部門が力を合わせて、新しい集客の導線づくりに取り組むようにしました。
例えば、新しい物件をリリースするときも、以前は予告広告を何度か出し、物件の情報を少しずつ見せていくくらいでした。
今は、会員様にはこのタイミング、地元の方にはこのタイミングというように、相手に合わせて段階的に情報を発信しています。価格を決める前からお客様を集め、興味のある土地を個別に選んでいただく。そうした段階を踏むことで、販売を開始する時点には、すでに多くの土地に興味を持っていただいている状態を戦略的につくれるようになりました。
この連携は、役員のFから出てきた提案です。部門を越えて新しい集客の形をつくれたことが、前期の成果につながったと思います。

目先の進捗から、2030年の未来を考える会議へ

赤鹿地所では、「すごい会議」をどれくらい継続しているのでしょうか。

赤鹿:約13年です。当社では「すごい会議」のことを、社内では「戦略会議」と呼んでいます。
2カ月に一度、部門長やチームリーダーが集まり、つくった計画をブラッシュアップし、実行へ移すための会議を続けてきました。太田コーチには、その会議に長く関わってもらっています。

今回、会議の進め方を大きく変えたのはなぜですか。

赤鹿:これまでは、「次の2カ月で何をするのか」を決めることが戦略会議の中心でした。
ただ、同じ形の会議を長く続けていると、だんだん定例化していきます。少しずつフレッシュさもなくなっていく。
4月に太田コーチから、目先の進捗だけではなく、もう少し中長期でさまざまなことを決めた方が、実現する確率が高くなるのではないかという提案がありました。
これまでもいろいろな提案をいただいてきましたが、会議の趣旨そのものについて、ここまで大きく舵を切ったのは今回が初めてです。

会議を変えたことで、どのような議論が始まりましたか。

赤鹿:私はもともと、3年ごとに中期経営計画をつくっていました。当社は8月15日が決算で、今回のタイミングでは、現在の中期経営計画が始まってから2年が経過し、計画期間があと1年残っていました。
ただ、今回の会議で議論するなかで、残りの1年だけを見るのではなく、2030年までの方針をつくり直すことにしました。
2030年までの4年間で何をやりたいのか。何に取り組みたいのか。そして、どこをゴールにするのか。それらをあらためて整理しました。
この機会があったことで、私自身もさまざまなことを考えることができました。2030年8月に向かう一つのゴールができて、そこへ向けて取り組みたいことも整理できました。

経営計画について一日かけて議論し、どのようなことを感じましたか。

赤鹿:終わって思ったのは、本当に議論しなければならなかったことを、これまで案外、議論できていなかったんやなということです。
当社の幹部や役員は、ものすごくよく集まって会議をします。習慣的に行っている会議もありますし、採用や社内の問題があれば、4人がすぐに集まって話をします。
それだけ普段から集まっているのに、会社の未来に関わる、こんなに大切なことを話せていなかった。
これは家族でも同じだと思います。いつも一緒にいるからといって、本当に大切なことを話せているとは限りません。今回のような機会がなかったら、私たちも大切なことをずっと話せずじまいにしていたかもしれません。

「この本社を、何のために建てるのか」

2030年までの方針を考えるうえで、
新本社の建設はどのようなきっかけになったのでしょうか。

赤鹿:新本社を建てることになったのは、社員が増え、現在の事務所が狭くなったからです。
現在は、兄の建築会社が入る建物の1階を当社が使用しています。社員が少しずつ増えて、いよいよ手狭になってきたため、新しい2階建ての本社を建設することになりました。
長い準備期間を経て、ようやく工事が始まりました。準備をしている段階では、私自身、現実味があるようで、まだどこか実感しきれていない部分があったと思います。
ところが、いざ着工して完成というゴールが見えてくると、自分の中で何度も問い直すようになりました。
「この建物を、何のために建てようとしているんだ」と。
私は今年60歳です。あと何年、私が社長をするべきなのか。新しい建物ができても、私が社長としてあの建物を使うのは、せいぜい10年くらいだと思います。
そうなると、私の後を担う人たちに、あの建物をどのように活用してもらうのかを考えます。
せっかく新しい本社を建てても、会社が売上20億円、30億円のまま横ばいになったり、少しずつ縮小していったりする。それでいいのかと思いました。
今の幹部たちを見ていても、まだまだ伸びしろを感じます。若手の“ヤングガン”たちを見ていても、この中から次の幹部が出てくるだろうと思う。
そう考えたら、もう少し高みを目指さなあかんなと。本当に心境が変わりました。

そこから、どのような目標を決めたのでしょうか。

赤鹿:2030年の数字目標として決めたのが、「売上50億円・経常利益10億円」です。
私はもともと、ただ会社の規模を大きくすることを最優先にしてきたわけではありません。それでも、新しい本社が完成した後の会社や、その会社を引き継ぐ人たちのことを考えたとき、今よりも高い目標に挑戦する必要があると思いました。

自分でつくった方針だから、自分の責任で実行できる

新しい経営方針は、どのような形で社内へ落とし込んでいるのでしょうか。

赤鹿:まず、私が会社全体の方針をつくります。それを受けて各事業部長が事業部方針をつくり、さらに8つあるチームが、それぞれチームリーダー方針と目標をつくります。
当社の経営計画は毎年9月1日にスタートするため、そこへ向けて準備を進めています。
大昔は、私一人で経営計画をつくっていました。以前の幹部に対しても、「こうやれ、ああやれ」と私が言っていたので、結局、私の考えでしかなかったんです。
今は2人の経営幹部と管理部門の長がいて、彼ら自身の意思や知見、調べてきたこと、研究していることが、少しずつ経営計画に乗るようになりました。
今回は全体のスケジュールを例年より少し早め、チームリーダーが自分たちの方針をしっかりつくり込める時間も設けました。さらに、チームリーダーが方針をプレゼンテーションし、それに対してフィードバックを行い、内容をすり合わせる場もつくっています。
幹部とチームリーダーが何度も方針をブラッシュアップしているので、今回はかなり精度の高いものができそうです。

なぜ、「自分で方針をつくること」を重視しているのでしょうか。

赤鹿:結局、その方針を実行するのは自分だからです。
自分の方針を自分で決める。そのうえで、自分の中で腑に落ちた方針ができるのと、格好のいいフレーズだけを並べた方針とでは、意味合いがまったく違います。
自分の中で腑に落ちた方針、腑に落ちた計画、腑に落ちたゴールをどれだけつくれるか。それが未来の経営幹部やリーダーを育てるうえで、ものすごく大きな違いになると思っています。

18年間続けた経営計画づくりが、社員を経営幹部へ育てた

長年の経営計画づくりや「すごい会議」は、現在の経営幹部の育成にどのようにつながっていますか。

赤鹿:当社では年に一度、経営計画書をつくっています。それを実現するために、社員一人ひとりが月次の行動計画書をつくります。
この取り組みを始めたのが18年前で、その直後くらいに、現在経営幹部を務めるSとFが入社しました。
2人は入社してすぐに、「これをやるんやで」と言われ、当たり前のようにその環境で育ちました。
その後、「すごい会議」を導入し、2カ月に一度、太田コーチに来てもらうようになりました。つくった計画をブラッシュアップし、実行へ移すための会議です。
それも2人にとっては当たり前の環境だったので、自然に自分のものにできたのだと思います。社員として入社した2人が、今は経営幹部になりました。経営計画をつくることも、彼らにとっては当たり前になっています。

目標を達成した一方で、今後に向けた組織上の課題はありますか。

赤鹿:深刻だと感じている課題は、あまりありません。ただ、将来に向けて課題として挙げておかなければならないことはいくつかあります。
一つは、M以外の現場リーダーをまだつくれていないことです。現在、Mが宅地販売とインサイドセールス、両方のリーダーを兼任しています。本来であれば、宅地販売には宅地販売のリーダーが、もう一人育てていなければなりません。
経営管理部門のナンバー2も必要ですし、マーケティングやインサイドセールスについて、より専門性の高い人材も育成していかなければなりません。新規事業や新商品も、これからの課題です。
現在、役員の下ではS(先ほどのSとは別の方)が唯一の課長で、それ以外はみんな係長です。組織のバランスを考えると、あと2人、3人は課長が必要です。
役員のF一人が多くのリーダーを見続けるのも大変ですから、「役員Fの分身」ではありませんが、次の人材が早く育っていかなければならない。これは今期の大きなテーマです。

すごい会議の型が、会社の日常に根付いている

すごい会議を長年続けるなかで、社内に定着したと感じるものはありますか。

赤鹿:「ショート、シンプル、ストレート」の3Sや、問題解決の考え方は、かなり定着していると思います。
以前であれば、何か問題が起きたときに、「社長、こんな問題が起きています」と報告するだけのこともありました。
今は、「どのようにすれば、この問題を解決できるだろうか」という形で考えることが社内に浸透しています。
問題だけを報告し、解決策を何も考えない幹部は、あまりいません。会議における一つの文化や型を、「すごい会議」で育ててもらったと思っています。
当社には、戦略会議以外にもたくさんの会議があります。そして、人材育成の多くは、会議の中で行われています。
どのような報告をするのか。どのように意思決定するのか。担当者が納得感を持ち、自分の責任として受け止められる意思決定をどのようにつくるのか。そう考えると、会議の内容や進め方は、人を育てるうえでものすごく大切です。

同じやり方を続けるだけでは、会議も組織も成長しない

長く続けてきた会議を今回大きく変えたことで、どのようなことを学びましたか。

赤鹿:今回、会議のモデルを変えて学んだのは、同じやり方をずっと続けていると陳腐化するということです。
「これはいいやり方だ」と思って続けていても、少しずつリニューアルし、変化させていかなければ、私たちも成長しません。
おそらく太田コーチも、これまでの会議を見ていて、少し退屈になっていたんじゃないですか。太田コーチが退屈なら、こちらのメンバーも退屈だったと思うんです。だからこそ、変える必要があったのだと思います。

なぜ、赤鹿地所では「すごい会議」を約13年間続けることができたのでしょうか。

赤鹿:私の知り合いにも、「すごい会議」を導入した会社はたくさんあります。
でも、聞いてみると、1年、2年、3年でやめている会社が多いんです。「今はやっていないんですか」と聞くと、「実務が忙しくなってきて」と、いろいろな理由が出てきます。
当社にとって、戦略会議は経営するうえで最も重要な会議の一つです。結局は、経営者がこの時間を大切だと思っているかどうかです。
社員に「みんなどうする?」と多数決を取ったら、「もうそろそろいいんじゃないですか」となるかもしれません。でも、私は「何が何でもやる」と決めています。
コーチを呼ぶには費用もかかります。しかし、それに値する価値があると意思決定できるのが社長です。
やると決めたら、意味のあるものにする。成果を出すためにやる。それが私の意思決定です。

社長一人が話す会議から、新しいものが生まれる会議へ

約13年間続けてきた今、赤鹿社長にとって「すごい会議」とは何でしょうか。

赤鹿:私流に言えば、会社の重要な会議に社外のコーチが入り、公平中立な立場でファシリテーションしてくれるものです。
その存在によって会議が活性化しますし、客観的な視点も入ります。
世の中の会議では、社長が一人でしゃべり続けていることが多い。私も太田コーチがいなければ、一人でしゃべって、「お前ら、分かったな」で終わっていると思います。
それでは、新しいものは生まれません。新しいアイデアも、新鮮な議論も出てこない。
会議を冷静に見ながら、本来の目的へ向かうように軌道修正してくれるコーチが、やはり必要なのだと思います。
新本社を、次の世代にどのように活用してもらうのか。これから会社を担う幹部や若手に、どのような未来を託すのか。
その問いから、赤鹿地所の「売上50億円・経常利益10億円」という2030年の目標が生まれました。
目標を掲げるだけではなく、事業部長やチームリーダーが自ら方針をつくり、自分の言葉で語り、自分の責任で実行する。そのプロセス自体が、次世代の経営幹部を育てる機会になっています。
約13年続けてきた会議を、次の成長のために変える。
赤鹿地所は今、目先の進捗を積み上げる経営から、次の世代とともに2030年の未来をつくる経営へ、新たな一歩を踏み出しています。

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