こんにちは。株式会社ピグマです。
「研修もOJTもやっているのに、人が育った実感がない」。人材育成の悩みは、手法の不足ではなく、押さえるべき原則の欠落から生まれることがほとんどです。
この記事では、導入企業180社超の会議改革を通じて数多くの幹部・リーダーの成長に立ち会ってきたピグマが、人材育成で本当に大切なこと7つを、経営者の視点で解説します。
手法のカタログではなく、「なぜ自社では人が育たないのか」の原因を特定できる原則集として、お読みください。
人材育成で大切な7つの原則と、育成がうまくいかない会社に欠けているもの
育てる側の上司・経営者に必要な4つのスキル
新人・中堅・管理職候補それぞれの階層別育成ポイント
「時間がない」「教える人がいない」など、よくある課題への処方箋
人材育成とは、経営目標の実現に必要な人材を、計画的に育てる取り組みのことです。似た言葉の「教育」が知識やスキルを教えることを指すのに対し、育成は「本人が自ら考えて成果を出せる状態」まで含みます。
ここに、人材育成で大切なことのほぼすべてが凝縮されています。教えることはできても、育てることは本人にしかできません。会社にできるのは、本人が育つ環境と仕組みを設計することです。
人材育成は人事部のテーマではなく、経営のテーマです。理由は3つあります。
・労働人口が減り続けている:総務省の統計によると、日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年の約8,726万人をピークに減少が続いています。採用で人を増やせない時代には、今いる社員の生産性を高める以外に成長の道はありません
・指導できる人材が足りない:厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査」では、人材育成に問題があるとする事業所が79.9%(約8割)に上り、問題点の筆頭に「指導する人材が不足している」(59.5%)が挙げられています
・成長の見通しが定着を左右する:社員が描ける成長実感とキャリアの見通しは、若手離職理由の上位に位置します
ここからが本題です。育成がうまくいっている会社に共通する原則を、7つに整理しました。
自社に欠けているものを探しながらお読みください。
人材育成で最初に大切なことは、育成を経営目標から逆算して設計することです。「3年後に売上2倍」という目標があるなら、そのときに必要な人材像から逆算して育てる対象と内容を決めます。経営と切り離された育成は、達成しても業績に影響しない「勉強のための勉強」になります。研修メニューから考え始めた時点で、育成は迷走します。
具体的には、「売上2倍には、単独で商談を完結できる営業3名、拠点を任せられる責任者2名が必要」というように、経営目標を人材要件に翻訳することから始めてください。この翻訳ができていれば、育成投資の優先順位は自然に決まります。
「優秀な人材を育てる」では、誰も動けません。
「どの段階で・何ができるようになるか」を行動レベルで明文化します。
到達基準が言葉になっていれば、本人は現在地を自覚でき、上司は指導の焦点を絞れます。
時間軸に沿った設計方法は、人材育成ロードマップの作り方で詳しく解説しています。
7つの中で、最も見落とされている原則です。
会社が目標を与え続ける限り、社員は「やらされる側」から抜け出せません。
人は他人が決めた目標ではなく、自分で選択し決意した目標に対して力を発揮します。
育成目標を本人が議論に参加して決め、自分の言葉で約束するプロセスを設計してください。
内発的な動機は、指示からは生まれません。
育成の質は、教える側の力量で頭打ちになります。
「背中を見て学べ」しかできない上司の下では、人は運任せでしか育ちません。
指導役には、教え方・フィードバックの型・1on1の進め方を先に身につけさせてください。
プレイヤーとして優秀な人ほど「できない人の気持ち」が分からず教え下手になる、
という現実にも配慮が必要です。
人の成長の大部分は、研修ではなく日々の経験から生まれます。米国のリーダーシップ研究機関 Lominger(ロミンガー)社 の調査に由来する「70:20:10」の法則では、成長の70%は仕事の経験、20%は他者からの薫陶、10%が研修とされています。
だからこそ、どんな仕事を任せるか、会議でどんな意思決定を経験させるかが、研修の設計より重要です。幹部候補には、権限を委譲した意思決定の経験に勝る育成手段はありません。
失敗を罰する組織では、社員は挑戦をやめ、成長が止まります。一方で、心理的安全性を「優しさ」と混同し、率直なフィードバックを避けるのも誤りです。大切なのは両立です。挑戦と失敗の報告を歓迎しながら、事実に基づくフィードバックを率直に伝える。この2つがそろって初めて、人は安心して挑戦できます。
フィードバックの質を上げる簡単なコツは、「事実」と「解釈」を分けて話すことです。「最近やる気がない(解釈)」ではなく、「今月の訪問件数が先月の半分だった(事実)。何があった?」と切り出せば、相手は防御ではなく事実の共有から会話を始められます。
育成の成果を測らない会社では、育成は「やりっぱなしの行事」になります。
到達基準の達成度を定期的に測定し、昇給・昇格の要件と接続してください。
成長が処遇に反映される設計になっていれば、育成は本人にとって自分のキャリアの話に
なります。
測定方法の具体例は、人材育成の目標を数値化する方法で職種別に紹介しています。

7つの原則を実行に移すときに使う代表的な育成手法を整理します。手法に優劣はなく、目的との組み合わせがすべてです。
とくに幹部・リーダー育成では、1on1と権限委譲の組み合わせが中核になります。1on1の設計は1on1ミーティングが生む効果について詳しく解説しています。


7つの原則を実行するために、上司・経営者側に求められるスキルは4つに集約されます。
4つのうち、経営者・管理職がもっとも苦労するのは「任せる力」です。自分でやったほうが速く確実な仕事を、あえて部下に委ねる。この我慢ができるかどうかが、育成の実質的な分岐点になります。
不動産事業を展開する株式会社エルズホームは、組織改革で急伸した業績を定着させるため、すごい会議を導入しました。週1回の「金脈会議」で振り返りと課題抽出を仕組み化し、管理職不足に対しては、完成された人材を待つのではなく「伸びしろのある人材を思い切って課長に抜擢する」判断をしています。
抜擢した課長候補には2ヶ月間のチーム運営サポートを付け、3ヶ月目には独り立ちを実現しました。育成体制の整備と並行して新卒20名の受け入れ体制も構築し、業績面では粗利が2019年度の約11億円から2020年度の約17億円(前年度比約155%)へ伸びています。
「先に役割を与え、支援を付けて、短期間で立ち上げる」という育成の型と、週次で振り返る仕組みの組み合わせが機能した実例です。
ピグマの90分ミーティングでは、経営コーチが「誰を・どの順で・どう育てるか」
を経営目標から逆算して一緒に整理します。
© pygma Inc. All Rights Reserved.