「社長が全部やる会社」から、「現場から100の事業が生まれる集団」へ。”人儲け企業” 株式会社トントンとすごい会議の1年間
第2回:導入後の変化

会社名 :株式会社トントン 2013年設立 資本金3580万円 業務内容: 不動産、飲食、ドローン、人材派遣・人材紹介など URL: http://tonton-inc.com/ 従業員数:130名  代表者(インタビュー):今川博貴

「すごい会議」担当コーチ: 株式会社ピグマ太田智文

鬼の責任感。人ってそこまで変われるだなあと僕もびっくりするくらいに。

-そして 1年2ヶ月ほど前に、すごい会議を始めた。 続けていくと、どうなりましたか?

株式会社トントン代表取締役社長 今川博貴: うちは事業体が多くて、はじめは各事業体から会議参加メンバーを選んでやってたんですけど、バラバラだと話がうまくまとまらなかった印象ですね。それで太田さんと話して、事業体を分けていこうと。不動産、飲食、と分けてみたら、自分の中で「つかめた!」というものがあった記憶があります。
「変わり始めたな」という感触は、社内の会議の仕方が、すごい会議方式になっていった時ですね。

- 社員の方にどんな変化がありましたか?

今川: 例えば、ある飲食の社員だと、今までは問題を口にしてるだけだったんです。「何々ができない、売上が足りない」だけ。でもすごい会議だと「どのようにすればできるのか?」なので、すごい会議出た後はその方式で会話するようになって。すると、日々 の会話が、文脈から変わってきました。席が近いと、普段の会話が聞こえるんですね。

株式会社ピグマ 太田智文コーチ: 印象的なのはFさんの変化ですね。

今川: ほんとそうですね。彼、わかりやすくご説明させていただきますと、彼は元々ポンコツ、でございます(笑)。カネとオンナにだらしないやつでございまして(笑)。でも仕事ができるかって言ったら、そうでもないんですよ。
それが、1年ほど前に地方の事業部でちょっと面倒な緊急対応が必要になって、新たに長を置かないといけないという時に、私に行かせてくださいと立候補してきたんですね。
おいおい大丈夫かと思ったんです。
そしたらですね、むっちゃくちゃ、変わったんです。鬼の責任感です。人ってそこまで変われるだなあと僕もびっくりするくらいに。なんか信頼できるようになっていったんですよね。

- 1年で変わるものなんですね。

今川: それはなぜかと言うと、その地方事業部に、すごい会議のやり方が伝わるんです。本部にすごい会議に月に1回来て、意見を出して、考え方とか、まとめ方とか学んで、向こうに持ち帰る。それを結果につなげている、というのがあります。

 

太田: 彼は問題を他人事にしないですね。問題はすごい起きてるんです。が、それを諦めずに取り組む。そのリーダーシップに惚れ込んで、ついてくる社員も出てくる。それでリーダーシップが強く発揮されてゆく。

 

今川: 1年前には、そんなことができると1ミリも思わないようなヤツだったんです。みんな言うんですよ、信頼できない、絶対責任を与えてはいけないって。僕なんか昔から知ってるんで。(笑)

- 強烈すぎます(笑)。他にはいかがでしょう?ね。

彼は事実と具体的なデータで指示が出せるようになった。

今川: あと、H君ですね。めちゃくちゃ変わりましたね。
最初のすごい会議メンバーにいて、H君は外した方がいいんじゃないかって太田さんと協議したぐらいだったんですけど、すごく成長しました。トラブル対応とか、管理とか。
部下の指導だと、今までは、とりあえずこの数字行こう、だけだったのが、より具体的になった。「今日は250コールの目標で、今150だろ。あと100いつまでにやる?」と事実とデータで指示を出せるようになった。自分なりの指示のフォーマットがあって、それを具体的に伝えてくんですよ。それで、一人当たりの売上が一番高いチームになってるんですね。

- ここまで素晴らしい成果をお聞かせいただきましたが、逆に、「すごい会議」の弱点は、なにかありますか?

今川: んー。(目を閉じて思考)
なんていうかなあ。即効性?
僕が始め感じたのは、これ、一回だけじゃわからないな、やり続けることで成果が上がってくるもので、劇薬ではないな、ということです。
劇薬は、一気にガーってくる場合もあるじゃないですか。「Red Bull 飲んだよ!すごいシャキシャキするよ!」そういうものではないんですよね。すごい会議っていうのは、どちらかと言えば、毎日飲むサプリメントのようなもので、常に健康でいられる。でもサプリを今日1日飲んだからって、何か変わるのかって言うと、「まあ、気持ち的には、違うかもね?」くらいの感覚ですね。それでも飲み続けるかどうか。
だから、可能性を見出す人と、見えない人に分かれる。

すごい会議は、組織の「サプリメント」

- そんなサプリ的な中長期的な効果について、エピソードはありますか?

今川:  僕が本当、一番印象的だった会っていうのは、中長期ビジョンを作るために、経営チーム、ボードメンバーと太田さんで金土と横須賀に行って、「すごい会議」をやったんですよ。もしもこの合宿がなかったら、将来メチャクチャじゃなかったかなあ?と。

この会議では、どんなビジョンを描くか?っていう単純な大枠なんですけど、僕らの組織体系とか、未来をわくわくさせるとか、僕らのミッションとか目的とか使命とかって何なの、そこで見えてくるビジョンってどんなと、そんな話をしてたんです。
目的も決まった、使命も決まった、ビジョンはこうゆう風に見えるよね、じゃあ社内にどう落とし込んでいくのか? という時に、“ヒトづくり”、“コトづくり”だと。世界で戦える人材を作るには、100の事業を作れるような人づくりをしていこうと。

じゃあどうやって作っていく?という時に、じゃあまず英語中国語ロシア語スペイン語と無料で開放して社員に業務中に受けてもらうとか。あとIOTとかAIとかブロックチェーンだとかビッグスリーのワードを、専門家呼んで聞きたい人に聞いてもらおうとか。
それで、半期に一回、ビジネスコンテストやって。オフィスの広場で集まって、「TED」方式でプレゼンして、揃いのT シャツも作るんですよ。「コトツクTシャツ」ってロゴ入れて、デニムで来いって。みんな一緒の格好で見栄えから面白いだろうなと思って(笑)。参加条件は誰でもよし。ただし条件は、3ヶ月以内に月次の収支が黒字化すること、しなければ即終了。第1回が8月です。

そんなことも全部、その会議で生まれたんです。それで4月、新卒が8名入ってきて入社式やって、5期目の振り返りと、中長期ビジョンの発表しました。社員に「どうだった?」って聞いたら「ワクワクします!」と。そのワクワク感を与えられるようなのができたんですね。

その経営チームの合宿会議に、後から来た者がいたんです。それで、僕らにはすごい決まった内容がハマってるんですけど、彼には全くハマってなかったんですよ。それが明らかにわかるんです。絶対腹落ちしてないなと。その日の夜に飲んで、話して、なんかようやく理解してくれたんですよ。すると太田さんが、「それは会社に戻った時に必ず起こる現象です」と。

太田: そうなんです。

今川: それはたしかにそうだなと。僕らは議論の過程を経てその結論に至ってますけど、いきなり結論だけ与えられて「え? もっと具体的なのないの?」てなるメンバーもいるよなと。だからあえて、その腑に落ちてなかった彼に、全体会で話させたんです。すると彼も自分の体験を話すことになる。「最初、私は、え?って思いました」っていうところから。そこから「しかし私は・・・」と展開していくと、みんなも「おーーー!」と盛り上がる。 そうやって目的、使命を伝えて、ワクワク感を与えられたかなと。

太田: どこを目指すか、はっきりさせたわけですね。

今川: 社員にコンパスを持たせたような。トントン流で行くとこうだよというような。二つの選択肢があったら、コンパス見ながら自分で「こっちだ!」となる道しるべになるような。
もしかすると、これから生活していく中で、「これ面白いな」と、(今の仕事以外に)新しく興味が変わるような社員も出てきた時に、あるいは実は既に持ってたり、という時に、「この場所で実現できるんだ」という可能性を最大限に広げることができたのかなと。

- その感覚は、「すごい会議」で作った中長期ビジョンによって、初めて見えたものですか?

今川: はい。はい。(深くうなずく)
それがマジで、すごい会議のご利益です。

 

取材: 2018411日 東京都目黒区 TONTON,INC東京本社

文章: 八田益之

撮影: ケニアドイ

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