「一緒に働く人への無関心」が、組織を破壊する。

2018/05/09 コミュニケーション

こんにちは。株式会社ピグマ、代表兼すごい会議コーチの太田智文です。

 

前回は、言いにくいことを言わないと、会議は一向に進まない、という話をさせていただきました。

株式会社ピグマ代表太田智文

今回は「一緒に働く人への無関心」について、少し書いてみたいと思います。

 

 

こんな格言を聴いたことがあるでしょうか。

「好きの反対は嫌いではない。好きの反対は、無関心である。」

この格言は正鵠を射ています。

 

なぜなら、会社において、最も危険なのは「対立」ではなく「無関心」だからです。

他のメンバーの仕事になど関心がない、どうなろうと自分の仕事さえ良ければ気にしないなど、いわば、会社でともに働くメンバーに対して「好き」も「嫌い」もない人。そういった人物が増えると、組織は危機に陥ります。

 

 

例えば、過去に私が会議をファシリテーションさせていただいた会社に、 100名ほどの営業主体の企業がありました。

「社員の大半が営業」という会社では、他の社員は敵である、という風潮が生まれやすくなる傾向があります。

なぜなら、他の人が好成績を上げれば、自分の成績は相対的に悪く見えるからです。

そのため、こう言った会社では「個人の壁」を打破するべく、より効果的なマネジメントの工夫をします。

例えば「ノウハウの共有」、「社員同士の協力」あるいは「成績の振るわない人への教育」を積極的に奨励するため、予算をグループ単位で持たせる。あるいは予算達成ボーナスを「全社で予算達成したときのみに支給」といったルールを採用する会社もあります。

 

 

その会社も、経営チームの共通の想いとして

「皆が共通の目標を持って、協力して成果をあげる」という意図で

「営業部10チームで、全体で月に◯件の契約を達成する!」

を掲げて、月初から活動していました。

 

 

そして1ヶ月後の営業会議の日となりました。彼らは掲げた目標件数を達成できたのでしょうか。

 

 

結果から言えば10チームのうち、7チームは目標の件数を獲得していました。

何が起こったのか?を聞くと、チームリーダー達は

「アポイントをいつも以上に積極的に入れました」

「チームの目標を紙に書き出して、自分のパソコンの画面に貼りました」

「契約の際にお客様に持ってきてもらうものの一覧を作って、何度もやりとりしないで一度で済むようにしました」

「営業の後、かならず上長と商談の振返りを行いました」

と、成果をあげるための工夫を語りました。

 

一方で、

「休みすぎました」

「行動量が不足していました」

「遠方が多く、一度の営業活動に時間をかけすぎました」

「現在のお客様からの追加の契約に期待して、新規顧客にあたれませんでした」

といったことを口にする方もいました。

なんだか違和感を感じつつ

会議はそのまま次の話に進んでいくように見えました。

 

 

その時、ある1人の参加者が口を開きました。

「……言っていいですか?こう言うことは、月の途中で皆、すでにわかっていたのではないですか?なぜ今になって、わかりきっていることを話しているんですか? 皆どう思っているんですか?」

 

 

そうです。

考えてみれば当たり前です。この月次の会議の前に、「目標を達成していないチーム」が存在し、うまくいっていないということは、参加者全員がわかっていたはずです。

それなのに、それが今この場になるまで言われていない。その方はそう言いたかったのです。

 

目標を達成しているチームリーダーの一人が言いました。

「……いや、言ってましたよ。」

「でも、言っていたなら、なぜこのような状態なのですか?」

「……。」

 

話を聴くと、たしかにこのチームリーダーは他のチームリーダーに対して

「数字どうするの?」と聞いてはいたようなのです。

しかし、「がんばります」と言われ、それ以上突っ込んだ会話は十分にできていなかったとのこと。

結果、言われた側の行動は変わらなかったのです。

 

 

この根底にあるのは、「他チームへの無関心」ではないでしょうか。

「関心」というものは、単に「興味がある」にとどまりません。大事なのは、他チームのことに対しても、「自分も責任を有している」という当事者意識です。

 

もしかしたら、「無関心」という言葉は言い過ぎかもしれません。

しかし、責任があるという状態は、ただ伝えるだけではなく、仮に相手が「わかってます」「やってます」と言ったとしても

こちらが期待する行動が現れるまで、言い続けることです。

 

 

実際、「これ以上追求するのは、相手が嫌がるだろうから、いいや」

から「変わるまで見続け、励まし、言い続ける」にシフトする事こそ、

成果に大きなちがいをもたらすのです。

 

必ずしも「成果に対する意欲」は、皆が同じ水準ではありません。

「私はこれで一生懸命やってる!(もっと私を認めて欲しい!)」

「もうこれぐらいでいいじゃないか」

と思ってる人がいたとしても、それを責めるのではなく、認め、そして、どうしたら皆が成果をあげられるかを、私たちは議論する必要があるということを、1人の参加者の発言から、気づかされました。

 

 

最後に、私は彼らに投げかけをしました。

「これからどのように会議を進めれば、皆さんの期待が手に入るか?話してください。」

結果として、彼らは

「皆の前で成果を追求すると、糾弾しているようなイメージになってしまう」

「細かい各論を、皆の前で支持するのは時間が勿体無い」

という「人に言いづらい」と環境を解消するため、3人一組で「個別の各論について話し合いの場を持つ」ということが決定しました。

 

会議の最後に「真実」を口にした参加者が言いました。

「今日の会議はいい会議でした。私の期待してたものが手に入りました。」

 

 

企業にはこのような「他者への無関心」が溢れています。

しかし、それであれば企業は「フリーランスの集合体」でかまわないはずです。衆智を結集できることが「組織をつくること」の強みである以上、その力をどうやって活かすかを考えることは、マネジメントの重要な役割なのです。

 

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