「事実」と「解釈」を明確に区別しない会議は、恐ろしく効率が悪い、という話

2018/05/07 ビジネススキル

こんにちは。株式会社ピグマ、代表の太田智文です。

株式会社ピグマ代表太田智文

今回は私が会議のファシリテーションを行う上で最も重視していることの1つ、「事実と解釈の区別」について、書いてみたいと思います。

最初に確認しておかなければならないのは

「事実」と「解釈」

のちがいについてです。

 

 

例えば、「スターバックスの店舗はあちこちにある。」

「これは事実でしょうか? それとも、解釈でしょうか?」

と問われて、皆様はどのように答えるでしょう。

読者のあなたは、「もちろん解釈です」とお答えになると思います。「あちこちにある」という言葉は、人それぞれの解釈に委ねられているからです。

その通り、これは解釈です。

 

 

それでは「セブンイレブンは大手企業です」は事実でしょうか、解釈でしょうか?

……

 

 

こちらも読者諸兄の方にはすぐに分かってしまうかもしれませんが、もちろん、これも解釈です。「大手」という言葉が何を指すのか、人の主観が入っているからです。

「いやいや、それは屁理屈だろう。スターバックスは実際に人が多く入ってるし、セブンイレブンは大手企業と言って反対する人は殆どいないはずでしょう。」

という方もいるかもしれません。

もちろんそのとおりです。私もおっしゃる通りに感じます。

 

しかし「事実」は人によって異なる判断を生まないものなのです。

 

 

例えば、このようにするどうでしょう。

 

「スターバックスは2016年12月31日現在、日本に1,245店舗あります

(参考:http://www.starbucks.co.jp/company/summary/)」

 

「セブンイレブンの平成28年2月期の売上は4兆2,910億6千7百万円です

(参考:http://www.sej.co.jp/company/summary.html)」

 

これらが事実です。

 

 

スターバックスはあちこちにあるよね?と言われても

「いやいや、うちの実家の方にはほとんど無いよ」と言われれば、それも正しいですし、

セブンイレブンは大手企業だよね?と言われても、

「いやいや、大手といったら、売上が10兆円以上でしょ」と言われたら、それも否定はできません。

しかし、1245店舗、売上高4兆2,910億6千7百万円という数字は、解釈によらず、誰から見てもその情報は一意に定まります。そこには「人の主観」が入り込む余地はありません。

そして、会議においてはこの「事実」と「解釈」を明確に区別しなければなりません。

 

 

しかしなぜ、ここまでこだわって事実と解釈を使い分けることにこだわるのでしょうか。

それは、「事実」と「解釈」を明確に区別しない会議は、恐ろしく効率が悪いからです。

 

 

例えば、営業会議で課題を洗い出して、業績のテコ入れをしたい、と皆が思っていたとしましょう。

解釈だらけの会社では、このような形で課題があがってきます。

「田中くんのセールス力が低い」

「営業マネジャーが、皆の案件をしっかりと把握できていない」

「商品力が弱い」

 

 

上のように、多くの会社では会議の出発点が「解釈」になっていることがよくあります。

 

 

しかし「田中くんのセールス力が低い」の下に隠れている「事実」を明るみに出さない限り、結局対策は

「田中くんはもっと頑張らなければならない」

という精神論に終止しがちです。

その場合、往々にして

「いや、田中くんはこれでも頑張っているよ。問題なのは田中くんにきちんと指導しないリーダーの佐藤さんじゃないかな。」

という水掛け論が発生し、会議は膠着し、恐ろしく非効率になります。

 

 

しかし「事実」から出発するとどうでしょう。

「田中くんのセールスの受注単価は現在30万円、トップセールスの鈴木さんは受注単価100万円です。田中くんの受注単価を上げるにはどうしたら良いでしょう」

という課題になり、もっと具体的な解決策が出てくるはずです。

結局のところ、多くの会社では会議において、

「事実と解釈を混同」し、その結果「間違った問いを発し」

その中で正しい答えを探そうとするのです。

 

 

余談ですが、Googleの会議は「事実」を課題解決の出発点としています。*1

ーーーーーー

グーグルの会議室の殆どにはプロジェクターが2台ある。一つは他のオフィスとのビデオ会議や会議の記録を映すためのもの。もう一つはデータ用である。

様々な選択肢や見解について議論する会議では、まずデータを見るところから始める。

他の人を説得するのに「私が思うに……」という言い方はしない。「ちょっとこれをみてください」と言うのだ。

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会議の生産性を高め、質の高い解決策を導こうとすれば、出発点を「事実」にしなければならないのです。

*1

 

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日本経済新聞出版社

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したがって、私が推奨する会議のやり方は、次のようになります。

 

ステップ1 問題を定義する

ステップ2 データ(事実)を集める

ステップ3 解決案の立案をする

ステップ4 コミットメント(期日、担当、内容、成果について決定する)

 

 

うちの会社の会議がどうも非効率だ……

と感じたら、ぜひお試しいただくと良いと思います。

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