セイスイ工業「すごい会議」半年後の変化
第2回:フタをあけたら新規訪問件数600%UP!

巨大ブルーオーシャン市場をも見据えた試行錯誤の中で出会った「すごい会議」。しかしそのスタートは必ずしも順調ではなかった。社員たちの戸惑いの中、コーチ陣はまず「型」を伝え、刺激を与え続けた。そして半年間ほど経った頃、変化が目に見えて現れた。

始めから順調なチャンレンジはない

- 「すごい会議」スタート時はどのような状況でしたか?

セイスイ工業株式会社 井本謙一代表取締役: 太田さんに最初に言ったのが、「接触頻度を増やして、熱意を伝えてくれ」ということです。冷めた社員、取り残された社員を作らずに、社員全員に熱気を伝えきってほしかった。
社内には、中途半端にはやらないよ、と宣言しました。まずお金をドンと払う。お金を払っちゃったから絶対やめないよ。そんな決意表明をしました。そこから先は、「すごい会議」の進行に合わせていきます。まず試着してみる。
ただ、私が従業員の立場なら、「また面倒くさいこと始めたな」というところだと思いますよ。

- 面倒くさいこと、といいますと?

井本: 1年間「すごい会議」をやるぞ、というのは、「こんな仕事をこんな考え方でやれ、こんな本を読め」と言ってきたのと同じで、「またか」と。向こうからすれば、私が社員を「なんでこんなことできないんだ?」と思うのと同じですよね。
セイスイ工業株式会社 安部憲二取締役: 私の方は、みんながそうなるのはわかっていたので(笑)、「俺もやる気あるよ」という姿勢を見せました。社長がやると言ったら、まず一番にやる気を見せるのが私の役割だろうと。だからリーダーに対して「俺本気だからね」と、しつこく伝えていました。

- 初回セッションの反応はどうでしたか?

(一同、しばし沈黙)
井本: んーーー。最初はあんまり良い反応ではなかったですよね。
株式会社ピグマ 太田智文コーチ: どっちかというと、そうですよね。
井本: 1回目から「やろう」という雰囲気ではなかったですね。はじめのうちは、みんな嫌々やってたんじゃないかな。「なんでこんなことやんなきゃいけないんだ?」と。実際、週に1日ぐらい「すごい会議」関係のことをやっているので、やる気なかったらただ負担になるだけ、「めんどくせえなあ」って、なると思います。

まず形から変えてみる

- そこから、どう変わっていったんですか?

安部: 最初に変わったのは、話し方ですね。前はワンマン型の経営で、上の立場から上が言いたいことだけ言っていたのです。「すごい会議」を入れてから、若い子たちの話をどんどん聞くようになりました。すると、若手がそれを利用し始めた感じです。「自分はこうやったほうが効果的だと思います」というように、それぞれの立場で、普段から話してくるようになりました。
太田: それはフォーマットの効果があります。我々が見ていてよくわかるのですが、「提案があります」「質問があります」といったフレーズを積極的に使うようになってきました。始めは緩く使いはじめて、だんだんと自主的に徹底しようということになって。そのうちに「フォーマットの何か条」といったものを書いた下敷きを作って会議場に置いたりとか、仕組みを自ら作るようになりました。
発言のフォーマットは、ほとんどの会社にはありません。まずそれができた。そのメリットがだんだんと、たぶん12月くらいから感じられるようになってきたんでしょうね。

「負けたくない」という本能

井本: フォーマットを守るとかは、はじめに変えやすい所なんですよね。ただ良くはなってきたけど表面的で、12月末くらいには「まだ私が思う化学反応は起きてませんよ」なんてコーチ陣と話してました。
大きなきっかけは、他社さんに見学に行ったことです。「すごい会議」をやってるX会社に、うちのリーダーが5人ぐらい見学に行ったんです。すると、今まで湿ってた草が渇いてきたので、火をつけたら燃えた、という感じでした。
太田: X社さんは「すごい」会議を効果的に運営できている会社で、わかりやすいところで言うと、発声する音量、姿勢から違うんです。それを見て実際に「できるんだ」と実感していただけました。
担当コーチ 西澤: その時、参加したリーダーの1人がおっしゃっていて印象に残っているのが、「この人達に負けたくない」という言葉でした。実際に見ることで、ライバル心が刺激されたわけです。

- 外部刺激の効果ですね。職場内に閉じた狭い環境から、広い世界を知るという。

井本: 人が本当に変わるのは、一緒にいてわかるじゃないですか。話をしていてやる気に満ちあふれていて、眼にも力が溢れている、というような。それが私の思う化学反応です。本当に感じ始めたのがその後で、この1か月、2か月くらいですかね。

形が質へと転化するとき

太田: 同時期に、内容に入っていったというのもあります。はじめはトレーニングとして型を重視していたんですが、次第に経営陣が、中身、質を問うようになった。「それってどんなインパクトがあるの? どんな成果が期待できるの?」という会話が交わされるようになってきました。
安部: それまではリーダーたちに任せて、僕らは入らずにいたんですが、そろそろ入った方がいいよとコーチに言われて。あと、その頃までの3−4ヶ月でチーム間の差が出てきたのもあります。成果を出し始めたチームが出てきて、成果を出せていないチームは、残り2ヶ月このままじゃまずいな、と感じ始めていたタイミングがあり、そこにX社訪問の刺激があった。
太田: あと我々が見たこととして、「ひどい真実」を扱えるようになりました。以前は社長が「社員をディスる」ということを言っていたのですが(笑)、それが会議中に「社長、提案があります、今の言い方をこう変えてください」と社長に対して提案するメンバーが現れてきました。このように普通なら扱いにくい課題に向き合う、ということを目にするようになりました。この変化は年末か年明けぐらいからだと思います。
社長: 会議の時に私が言い過ぎると「レッドカード」と「イエローカード」があって止められちゃったりとか。(笑)それは遊びのようなものですけど、遊びの要素も大事じゃないですか。
安部: 社長に対する発言は大きく変わりましたね。例えば、若手の1人が「まだ誰もすごい会議の本質を分かっていない、俺はまだわかっている方だ」なんて発言するようになったり。(笑)

- 強い言葉ですね、その時どう感じました?

社長: いいんじゃな〜い?と。(笑)
安部: 悔しい、と頼もしい、両方です。もっと言えば、その火をうまく利用してやろう、とも思いました。でも瞬間的には、やっぱり悔しい。(笑)
太田: たとえば彼の場合、人を巻き込む能力が格段に上がりましたよね。彼が話をしている時に周りが話を聞くんです。

- 人を巻き込む、その人の話をまわりが聞いてくれる、とは、つまりリーダーシップの始まりですよね。大きな変化ですね。

フタをあけたら新規訪問数600%UP

井本: 最近では、仕事の取り組み姿勢がずいぶんと前のめりになってきました。ちょうど2月の数字を確認したばかりで、新規訪問件数が月2-30件だったのが160件ぐらいまで増えてたんです。うちのメインはリピート商売で、継続的にお付き合いをしていくので、あまり新規の飛び込み営業は行ってなかったんですが。おかげで私もだいぶこき使われたんですけど。(笑)

- ほぼ6倍ですか。フタを開けたら増えていてびっくり、ということは、経営側から増やせと指示したのではなく、自主的に動いた結果ということですね。

安部: 実は、そこは今までうまくいってなかったチームなんです。最初に立てた目標を達成できなさそうだ、でも残り1か月2か月しかない、何だったら、どうしたらできるか?と考えた結果、自主的に動いたんじゃないのかなと思ってます。
それを僕らは傍から見ていて、どんどんやれやれ!やり切れ!という気持ちでした。残り1か月でできることは何でもやった、まずはそれで十分かなと。それを3月からの取り組みに活かしてくれればいい。
井本: 実際、今までのところ質は十分に伴ってないわけですよ。ただそれをやったかやらないか、は違います。160件やればできたよね、という事実は手に入った。次からは質につなげていけばいいので。今の状態で、がむしゃらにやっていけば、結果も出てくるだろうなと。やはり営業は、やればやっただけ成果につながってゆくと思うので。

- なるほど、他のチームとの差を実感し、経営陣の関わり方も変わって、リアルな危機感が内側から出てきた。さらに成功例を目の前で体験するという外部刺激が重なった。こうして「すごい会議」が頭だけの理解から、身体で実感できるものになってきた。それがこの半年間の変化なのですね。

 

  取材: 2018年2月27日 千葉県千葉市 セイスイ工業

  文章: 八田益之

  撮影: ケニアドイ

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