8年間変えられなかった社員の行動と発言が導入後わずか5ヶ月で前向きにチェンジ

辰馬本家酒造株式会社 代表取締役 辰馬 健仁 氏 すごい会議コーチ 太田 智文

辰馬本家酒造株式会社 事業内容:清酒「白鹿」、リキュールの製造・販売、および「白鹿奈良漬」その他関連商品、化粧品の販売 設立:1917年(大正6年) 創業:1662年(寛文2年) 資本金:9,000万円 / 従業員数:200名(2014年11月現在)

「やってもダメだろう」から「やるしかない」へ意識をチェンジ

すごい会議を導入した当初「解決したい」と考えていた課題を教えてください。

辰馬:ビジョンやプラン、目標の数字は出そろっていたので、現場の皆さんにどう実行していただくか?という点が課題でしたね。営業も製造も同じですが、現場のことは現場の方が一番良くご存じです。現場でアイディアを出し、さらに行動プランに落とし込めるようにと考えていましたが、なかなかうまくいかない状況でした。というのも、当社は長らくトップダウン式で経営してきた歴史があるので、社員たちが「自分たちで考え行動し実績を創る」と、意識しにくい面がありました。 上司も「頑張ってるし、忙しいのだから仕方がないね」と、期日を決めていても先送りを許してしまう状況に悶々としていました。そのようなときに、とある調味料会社の経営者から、「すごい会議だけに“すごい大変”だけど、成果が出ている」と聞き、すごい会議と太田さんの存在を知ったのです。実際に太田さんと会って話してみると、「効果がありそうな“気配”」がする(笑)。そして今年の7月21日、海の日にスタートしました。

どのような面で魅力を感じましたか?

辰馬:様々なコンサルタントに会ってきましたが、太田さんが特徴的だった点は、初めて会った 1 時間半の間に「ちょっと書きましょう」と、当社の課題やその解決案等を紙に書き出したんです。すごい会議の「書かせて読ませる」仕組みが面白かったですね。ちょうど私も、全社員200名とのミーティングを行っている最中で試行錯誤していたので、これには感心しました。

導入後は社員や社長ご自身にどんなトランスフォーメーションが起きましたか?

辰馬:今回は東日本営業部の7名で導入しました。私はオブザーバーの立場で、メンバーは東日本営業部の責任者、管理職4名、ベテラン1名、若手1名です。私は「取り入れられるものは真似したい」ので、出席者に意見を書き出してもらうなど、すごい会議や太田さんのテクニックを自分が主催する会議でも真似しています(笑)。そうすると、普段は寡黙な人も良く話し出すなど、新たな一面が見えたりコミュニケーションが生まれるという副次効果がありましたね。 すごい会議以前は、発言を促すために一人ずつ質問を振るものの「○○さんと同じです」等の答えで終わってしまったり、時間の関係でチームの代表のみが発言する形になり、発言する人としない人がはっきり別れていました。すると、うまく話せる人に他の人の意見やアイディアが集まりその人の口から発表される。その結果、「話がうまい人」の評価が上がりがちになる不公平感も感じていました。すごい会議を取り入れてからはそのような不公平感がなくなり、参加者全員が積極的に発言するようになりました。 私自身の変化は、太田さんに教えてもらった「どのようにしたら○○だろうか?」というフレーズを使い社員に問いかけるようになったこと。このフレーズの効果で、「やっても上手くいかないだろう」と考えがちな悲観的な社員が「やってみるしかない」と前向きになってくれたのが収穫です。馴染んできてくれたんでしょうね。改革を起すためには、こうして働きかけ続けることが大切です。

8年間変えらなかった環境が5ヶ月で新ステージへ

「すごい会議に投資した価値があった」とお考えですか?

辰馬:「人がこれだけ考え方や行動を変えた」ことにこの金額だと考えれば高くはないですね。8年間、自分で社長業をやってきても変えられなかったことが、7月から10月の5ヶ月目で行動も発言も変わり始めている。驚くべき効果だと私は感じており、「導入してよかった」と思います。 人は 思いのほか保守的で、今までの方法を変えなければならない局面でも、なかなか新しいことにチャレンジできないものです。そこを大きく変えていくためにすごい会議を取り入れました。 実際に自分たちで「やること」を決め、発言し、進めてもらっています。あとはもう少しスピードを上げていきたいところです。

将来的にはどんな可能性がありますか?

辰馬:希望を含めてですが、リーダーを中心とした東日本営業部の社員たちが何事に対しても能動的に考える“クセ”をつけて欲しい。そして、「東日本営業部のメンバーはテンション高いな、変わったな」と刺激を受けた西日本営業部や営業本部などが興味を持ち、「ここでもやりたい」と言い出すといいですね。。成功事例を本社が吸い上げて全員に発信する形よりも、投資したくなるじゃないですか(笑)。 現状でも全ての支店長があつまる全店会議において「東日本営業部ではすごい会議を取り入れている」とは伝えてあるので、「どんなことをやってんねん?」と興味が生まれ、現場の営業同士で情報をやりとりし、「西日本営業部の取引先にも、東日本営業部のような提案をしてみよう」等、具体的な行動が始まったようです。

社長ご自身が、すごい会議導入前は「不可能だ」と感じていたことの中で、今ならば「可能だ」と見通しが立ったことはありますか?

辰馬:営業が抱えている課題のうち、1年半前から進捗が悪いと感じていたことが2つあるのですが、すごい会議の「考え方」と「行動のさせ方」を見ているとクリアできそうだなと感じています。課題の 1 つは営業戦略の実行です。当社は長らく、中間流通業を“お客さん”として見てきましたが、これからはエンドユーザーにも直接アプローチする必要があります。つまり、今度の相手は法人ではなく個人。その個人のお客様に喜んで頂くために、自分達営業は何をすればいいのか?という発想で、売り場作りや飲食店のメニュー作り、器の開発など様々なアプローチを始めました。 もう 1 つの課題は商売の中で発生するリベートのコントロールです。今までは、請求書がきて支払うということを1年繰り返し、結果いくら掛かったかがわかるという形でした。もちろん、リベートは「お米をお客様の笑顔に変える」ための軍資 金ですからゼロにはなりませんが、商品構成を変えるなど、仕組みそのものから見直すべく使い方を変えています。

将来「良いお酒が飲める」と思って取り組んでいます(笑)

これからの目標を教えてください。

辰馬:私達がなにより考えるべきことは、「どうすれば、お客さんが喜んで下さるのか?」の1点に尽きます。「酒蔵」つまり「お米を仕入れてお酒を醸す蔵元」は全国で1千社以上あります。当社はそこから一歩進んで、「お米から醸した当社のお酒によって、お客様が笑顔になる」酒造りを目指しているんです。そう、「お米を笑いに変える」ことこそが私達の存在意義です。関西の会社なので「お笑い」のように聞こえるかもしれませんが「笑顔」の意味ですよ(笑)。そして、お客様の笑顔が当社にとってもハッピーな結果に繋がるものと信じています。 では、「お米を笑いに変える」ためにはどうすれば良いのでしょうか? たとえば、全社員200名が常に考えつづけ、1日に1つずつアイディアを出せば 200通りのアイディアがあつまりますよね。このように、すごい会議では、何事に対しても「どうすれば良いのだろうか?」と問いかける姿勢や前向きな“脳みそ”の使い方、集まったアイディアで目標を達成する方法を身につけていくことができます。変化の時期は苦しいものですが、乗り切れば明るい未来が待っているはず。 将来良いお酒が飲めるんじゃないかなと思って取り組んでいます(笑)。

太田コーチに対する印象を教えていただけますか?

辰馬:「この人、折れへんなあ」というのが最初の印象です。心身共に強い方なので、そのあたりのコツを上手く盗んで自分のものにしていこうと思っています(笑)。 もう一つは「何でも楽しくやった方がいいじゃないですか!」という言葉です。よく、「仕事も生活も、楽しい方が良い」とおっしゃるので、「そりゃそうだよなぁ」と(笑)。プライベートが楽しくても仕事が楽しくなかったら、人生の半分以上が楽しくないことになるんですよね。楽しく、そして真剣に。これが単純なようで奥が深くてなかなか...。私一人が楽しくても、まだ社員全員を巻き込みきれないのです。どうせなら社員全員、楽しんで定年を迎えて欲しいですね。たとえば「楽しそうだから」と、社員のお子さんが入社してくれるような会社になれれば最高です。

文化をアレンジし、新しいお客様へと届けていく―― すごい会議は「日本の伝統」を扱う会社に効く

すごい会議は、どういうタイプの会社に向いていると思いますか?

辰馬:日本文化を扱っている業種がすごい会議の仕組みに合うと思います。たとえばお茶、海苔、鰹節、お酢、着物、鼻緒、お扇子などなど。というのも、歴史と技術があるので良い商品を作ることができる。しかし、それをどう売り広めれば良いかわからない場合が多い。知識やツールとして使えるネタは現場の方が沢山持っているはずですから、それを「どう使っていくのか?」という部分ですごい会議が効きそうですね。 外部から見るとすごい商品や技術であっても、内部の人はそれに気づかないものなんです。そこで、たとえば「香りと手触りがすごい点をプッシュしよう」など、外部からきっかけをもたらし、守ってきた伝統を今風にアレンジして広めていけば良いと思います。 もう一つはタイミング。親の代から子どもの代へと経営者が変わったばかりの会社です。新しい経営者が「この会社、この業種はこのままではまずい」と危機感をもっている場合にいい広がりをするのではないでしょうか。日本酒業界も同じです。高齢化で年々ユーザーが減っているなか、マーケットを広げるためには新しいお客様を開拓しなければならない。歴史のある日本酒は完成度が高い半面、これからの世代のお客様に売っていくためには今までと違う考え方が必要になります。 新しいお客さんたちが興味を示し、笑顔になれるアプローチを、すごい会議と共に模索していきたいと思います。

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