従業員エンゲージメントを向上させるには?施策・効果を徹底解説

2025/9/22

こんにちは。株式会社ピグマです。
企業の成長を支える要素として「従業員エンゲージメント」の重要性が高まっています。労働人口の減少や人材流動化の加速、リモートワークの普及といった環境変化により、従業員が企業に主体的に関わる意欲を高めることは、持続的な競争力を維持する上で欠かせない経営課題となりました。近年の調査では、エンゲージメントが高い組織は低い組織と比べて生産性が20%以上向上し、離職率が半減するとの結果も報告されています。
従業員エンゲージメントを高めるには、表面的な福利厚生の拡充だけでなく、評価制度の透明性や経営層との双方向コミュニケーション、キャリア形成支援など、多角的な施策が求められます。また、導入にあたっては施策の効果測定や改善プロセスを組み込み、企業規模や業種に合わせた取り組みを継続することが不可欠です。
本記事では、従業員エンゲージメントの定義と注目される背景を整理し、企業にとってのメリットを明らかにした上で、代表的な施策と成功事例を解説します。さらに、実践を支える測定手法や改善プロセスについても具体的に紹介します。
この記事でわかること
・従業員エンゲージメントの意味と注目される背景
・エンゲージメント向上による主な効果
・効果的な施策と代表的な7つの取り組み
・成功事例と測定・改善の方法

従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントは、単なる従業員満足度を超えた概念として注目されています。企業と従業員が互いに信頼し、目標達成に向けて協働する状態を表すもので、業績や組織文化に直結します。理解を深めるためには、以下の観点から整理すると明確になります。
・ビジネスにおけるエンゲージメントの意味
・従業員エンゲージメントと類似概念の違い
・注目される背景

ビジネスにおけるエンゲージメントの意味

ビジネスにおけるエンゲージメントは、従業員が自社に対して持つ「自発的な貢献意欲」を示す指標です。企業との雇用契約だけに基づく関係ではなく、個人が組織の目的や価値観を理解し、自ら進んで業務に取り組む姿勢を含みます。これは顧客エンゲージメントと異なり、内部の人材に焦点を当てています。
重要視される理由は、エンゲージメントが高い従業員ほど成果を出しやすく、組織全体のパフォーマンスを押し上げる傾向があるためです。例えば、米国の調査機関Gallupのレポートによれば、エンゲージメントの高い組織は低い組織と比較して利益率が23%以上高いとされています。このような数値は、従業員エンゲージメントが経営指標に直結することを裏付けています。
一方、エンゲージメントが低い場合には、モチベーションの低下、離職率の上昇、生産性の停滞といった課題が顕在化します。従業員がただ雇用契約に従って業務を遂行するだけでは、企業にとって持続的な競争力を築けません。したがって、組織が継続的に成果を上げるには、従業員エンゲージメントの向上が不可欠です。

従業員エンゲージメントと類似概念の違い

従業員エンゲージメントは、モチベーションや従業員満足度(ES)と混同されやすい概念です。しかし、それぞれには明確な違いがあります。
・モチベーション:個人の内的要因や外部刺激による短期的な意欲
・従業員満足度(ES):職場環境や待遇に対する満足感
・エンゲージメント:企業への信頼や共感に基づく自発的な貢献意欲
満足度が高いだけでは必ずしも高い成果につながりません。例えば、待遇に満足しているものの挑戦意欲が低ければ、組織への貢献度は限定的です。一方、エンゲージメントが高い場合は、報酬や環境条件を超えて主体的に行動する従業員が増えます。
この違いを理解することで、組織が注力すべき施策の方向性も明確になります。単なる待遇改善ではなく、理念共有やコミュニケーションの仕組みづくりが求められるのです。

エンゲージメントが注目される背景

従業員エンゲージメントが近年注目されている背景には、社会構造や経営環境の変化があります。
・人的資本経営が注目され、従業員の成長や活躍を企業価値の源泉とする考え方が広がった
・労働人口減少に伴う人手不足が深刻化し、優秀人材の定着が企業競争力に直結するようになった
・働き方改革やリモートワークの普及により、従業員と企業の関係性を見直す必要性が高まった
これらの要因から、単なる人材確保ではなく「人材をいかに活かし続けるか」が経営の焦点となっています。特に人的資本の情報開示が求められる現在、エンゲージメントスコアは投資家やステークホルダーにとっても企業評価の指標として注目されています。
結果として、エンゲージメントの向上は人事施策の領域を超え、経営戦略そのものに組み込まれるテーマとなっています。

従業員エンゲージメントを向上させるメリット

従業員エンゲージメントを高めることは、単なる人事施策ではなく、経営全体の成果に直結します。大きく分けると以下の3つの効果が期待できます。
・生産性向上と業績改善
・離職率の低下と採用コスト削減
・イノベーション創出・組織文化の強化

生産性向上と業績改善

エンゲージメントの高い従業員は、仕事への主体性が高く、業務効率や成果に直結する行動を取ります。Gallup社の調査によると、従業員エンゲージメントが高い組織は低い組織に比べて生産性が20%以上高いと報告されています。これは単に努力量が増えるのではなく、組織の目標を自分ごととして捉え、改善や提案を積極的に行う姿勢が広がるためです。
一方で、エンゲージメントが低いと「与えられた業務だけをこなす状態」が常態化し、チーム全体のパフォーマンスが落ち込みます。悪い例として、従業員の意欲低下が原因でプロジェクト進行が遅れるケースは少なくありません。したがって、エンゲージメント向上は長期的な業績改善に不可欠な取り組みと言えます。

離職率の低下と採用コスト削減

エンゲージメントが高い従業員は、企業への愛着が強く、長期的に働き続ける傾向があります。実際に、エンゲージメントの高い組織では離職率が40%程度低下するという調査結果もあります。採用コストは新卒・中途を問わず1人あたり数十万円から100万円規模に達する場合が多く、離職防止による経済効果は大きいです。
ただし、注意すべきは「待遇改善だけで定着率を高めようとすること」です。給与や福利厚生だけに依存すると、競合他社が条件を上回った際に離職につながりやすくなります。これを防ぐには、理念の共有や働きがいの提供といった、金銭的条件以外の要素を強化することが効果的です。

イノベーション創出・組織文化の強化

高いエンゲージメントを持つ従業員は、自ら考え行動する傾向が強いため、イノベーションや新しい取り組みを生み出す力となります。社内での情報共有や意見交換も活発化し、挑戦を支える文化が育まれやすくなります。その結果、組織全体が変化に強くなり、市場環境の変化にも柔軟に対応できます。
逆に、エンゲージメントが低い環境では「言われたことしかしない」「新しい提案が出ない」といった停滞感が強まり、組織文化が硬直化します。この違いは企業の中長期的な競争力に直結します。したがって、エンゲージメント向上は単なる短期成果だけでなく、組織基盤の強化という意味でも重要です。

従業員エンゲージメント向上の施策7選

従業員エンゲージメントを高めるには、単発の取り組みではなく、組織全体で多角的にアプローチする必要があります。代表的な施策としては以下の7つが挙げられます。
・社内コミュニケーションの活性化
・評価制度の透明化と納得感のあるフィードバック
・キャリア開発・研修機会の提供
・働きやすい職場環境づくり
・福利厚生の充実とウェルビーイングの推進
・経営層との対話・ビジョン共有
・社員の声を取り入れる仕組み

1. 社内コミュニケーションの活性化

エンゲージメントを高めるうえで、最も基盤となるのが社内コミュニケーションです。従業員同士や上司と部下の情報共有が活発であれば、信頼関係が深まり、心理的安全性が高まります。心理的安全性は、意見や提案を安心して発言できる環境を意味し、エンゲージメント向上の前提条件です。
具体的な手法としては、1on1ミーティングの定期実施、社内SNSやチャットツールの導入、社内イベントを通じた交流促進が有効です。ただし、形式的に実施するだけでは逆効果になるため、目的や頻度を明確にすることが重要です。短時間でも内容が濃い対話を重ねることが効果的です。

2. 評価制度の透明化と納得感のあるフィードバック

評価制度は従業員の信頼感に直結するため、透明性と公平性が欠かせません。評価基準が曖昧だと不満が蓄積し、エンゲージメントを下げる原因になります。逆に、評価の基準やプロセスが明確であれば、従業員は納得感を持って働き、成果に対するモチベーションが高まります。
さらに、フィードバックは定期的かつ建設的に行うことが望まれます。特に成果だけでなく、努力や行動プロセスを評価に含めることで、従業員は継続的な成長を実感できます。このような仕組みが信頼関係を生み、エンゲージメントを強化します。

3. キャリア開発・研修機会の提供

キャリア形成を支援する施策は、従業員が「この会社で成長できる」という安心感を持つために重要です。スキルアップ研修やジョブローテーションの導入は、学びと挑戦の機会を提供します。これにより、従業員は自分の成長と会社の成長を重ね合わせて捉えるようになります。
研修の種類は、業務に直結する専門スキルだけでなく、リーダーシップ研修やコミュニケーション研修など幅広く用意することが効果的です。キャリア形成をサポートする仕組みを整えることで、従業員の企業への帰属意識が強まります。

4. 働きやすい職場環境づくり

従業員が快適に働ける環境は、エンゲージメント向上に直結します。柔軟な勤務制度(フレックスタイムやリモートワーク)は、仕事と生活の両立を可能にし、従業員のストレスを軽減します。また、オフィスの設計やレイアウトを工夫することも効果的です。オープンスペースや集中エリアを適切に配置することで、生産性やコミュニケーションが促進されます。
ただし、制度導入だけでは効果は限定的です。実際に運用が浸透し、従業員が安心して利用できる環境を整えることが不可欠です。

5. 福利厚生の充実とウェルビーイングの推進

福利厚生は従業員の満足度を高めるだけでなく、エンゲージメント強化にもつながります。特に近年は、健康経営やウェルビーイングの観点が注目されています。具体的には、メンタルヘルス支援、健康診断や運動支援、リフレッシュ休暇などが効果的です。
福利厚生は一律で提供するのではなく、従業員のニーズに合わせて柔軟に設計することが望まれます。従業員が安心して働ける基盤を整えることで、長期的な定着と貢献意欲を高められます。

6. 経営層との対話・ビジョン共有

経営層が従業員と直接対話し、企業の方向性やビジョンを共有することは、エンゲージメント向上に大きな影響を与えます。従業員が経営層の考えを理解し、自分の業務が組織全体の成長にどう貢献しているかを実感できれば、主体的な行動につながります。
経営層が現場の声を聞く場を設け、双方向のコミュニケーションを実現することが信頼関係構築の鍵です。これは組織規模に関わらず導入できる施策です。

7. 社員の声を取り入れる仕組み

従業員の意見を組織運営に反映させる仕組みは、エンゲージメント強化に直結します。アンケートやエンゲージメントサーベイを定期的に実施し、結果を施策に反映することが有効です。
ただし、調査を行うだけでは逆効果になり得ます。重要なのは、結果を踏まえて改善を行い、そのプロセスを従業員にフィードバックすることです。従業員の声が経営に反映されている実感が、信頼と貢献意欲を高める要因になります。

従業員エンゲージメントを測定・改善する方法

従業員エンゲージメントを継続的に高めるには、現状を正しく把握し、効果的な改善プロセスを実行することが欠かせません。そのためには、以下の3つのアプローチが有効です。
・エンゲージメントサーベイの活用
・指標(スコア)と改善のPDCAサイクル
・外部ツール・コンサルティングサービスの活用

エンゲージメントサーベイの活用

エンゲージメントサーベイは、従業員の意欲や満足度を数値化し、組織の現状を客観的に把握する手法です。アンケート形式で行うことが多く、従業員の率直な声を集めることができます。サーベイの結果は、強みと課題を明確にし、具体的な改善施策の出発点となります。
注意点は、調査を実施するだけで終わらせないことです。調査結果を分析し、改善アクションに反映しなければ、従業員の信頼を失う可能性があります。効果的な運用のためには、調査→分析→改善→フィードバックという流れを定期的に繰り返すことが重要です。

指標(スコア)と改善のPDCAサイクル

エンゲージメントの測定には、サーベイ結果をもとにしたスコア化が有効です。スコアは部署ごとや年代別に比較することで、組織内の特徴を把握できます。数値を指標化することで、施策の効果を定量的に評価できる点が強みです。
改善にはPDCAサイクルの導入が適しています。具体的には、計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Act)の流れを回し続けることです。このサイクルを継続することで、一時的な施策に終わらず、長期的にエンゲージメントを高める仕組みを構築できます。

外部ツール・コンサルティングサービスの活用

社内だけでエンゲージメント改善を進めるのは限界がある場合もあります。その際には、外部の専門ツールやコンサルティングサービスを活用することが有効です。クラウド型のサーベイシステムやコミュニケーション支援ツールは、データ収集や分析を効率化し、改善施策の立案をサポートします。
また、コンサルティング会社に依頼することで、自社に適した施策の設計や効果測定の仕組みを導入できます。特に初めてエンゲージメント施策を進める企業にとっては、外部の知見を取り入れることが失敗を防ぐ有効な手段となります。

まとめ

従業員エンゲージメントの向上は、単なる人事部門の課題ではなく、経営全体の成長戦略に直結します。生産性向上、離職率低下、組織文化の強化といった効果は、企業の中長期的な競争力を支える重要な基盤です。
エンゲージメントを高めるには、制度の導入だけでなく、継続的な改善が欠かせません。サーベイによる現状把握、施策の実行と評価、改善サイクルの徹底が必要です。さらに、自社の規模や業種に適した取り組みを選び、小さく始めて成果を積み重ねていく姿勢が成功の鍵となります。
従業員が安心して意欲的に働ける環境を整えることは、人的資本経営の実現にも直結します。企業が従業員を信頼し、従業員が企業に共感する関係を築くことで、持続的な成長が可能になります。

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